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歯の根管治療にまつわる新常識

根管治療に使われるリーマー

「歯科治療」の世界には、急速な技術の進化がある。そのため、“かつての常識”が間違いだったと明らかになることが往々にしてある。その進化に追いついていない歯医者にかかると、症状が改善せず、むしろ歯の寿命を縮める可能性すらある。何が“最新常識”なのか。話題書『やってはいけない歯科治療』著者のジャーナリスト・岩澤倫彦氏がレポートする。

 * * *
 虫歯が進行すると、歯根内部にある歯髄に感染が広がり、歯根周囲の骨を溶かしてしまう場合がある。ここで最後の切り札となるのが、「根管治療」。感染した内容物などを根管内から除去、ガッターパーチャというゴムで封鎖する。

 根管の直径は、約0.3mm。目視は難しいので、従来、歯科医は“手探り”で指先の感覚を頼りにリーマーという器具(写真)を根管に入れていた──。

 ところが、根管治療を劇的に変えたのが、歯科用顕微鏡のマイクロスコープだ。高い倍率で視野を拡大することが可能なので、根管の奥底まで見ながら治療できる。ただし、日本のマイクロスコープ普及率は約1割でしかない。

 中川寛一氏(東京歯科大・元教授)によると、感染を起こして歯槽骨が溶けた患者に根管治療を行なった結果、1年以上かけて歯槽骨は再生されたという。

「根管治療」で注意すべきポイントの一つが、治療時間だ。中川氏は、マイクロスコープによる根管治療は、約1時間が必要だという。

 もし10分程度で根管治療が終わるようだったら、その歯科医の誠意とスキルを疑うべきかもしれない。

※週刊ポスト2019年2月1日号

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