その後、明るみに出たのが優衣と愛大は既に男女の仲にあったという衝撃的な事実。「カメラの外でコソコソやるな」と利沙子を牽制した優衣。彼女も処女キャラを演出していたことが分かる。「キスなんて知らないもーん」といった純情ぶりをカメラの前で演じていた。
トリン里の慧眼は真実を見抜いていた。ブラウンの澄んだ瞳で、スタジオのキャストの誰よりも優衣の心根に迫っていたのである。一見穏やかなトリンドル、実は師匠の山里よりも狂気が強いかもしれない。
その後、番組は優衣の処女性が保たれているのか否かの検証に焦点が当てられる。その回のタイトル「Still a Virgin(まだ処女)」。
ここまで書けば分かると思うが、『テラスハウス』はまぁ異常な番組である。しかし、演出、カメラワーク、デザイン等でオシャレ番組にパッケージング。“異常さ”を上手に薄めている。根底にある昼ドラマ的な愛憎劇を巧みに隠蔽する。
今後、女性3人の人間関係が完全に改善することはないだろう。クライマックスの聖夜、軽井沢の豪邸ではどんな珍事が起きるのか。今から楽しみで仕方がない。そこでトリン里はどんなコメントを発すのだろうか。山里は3人の女性陣をどう見立てるのか。2人の天才コメンテーターを擁する『テラスハウス』、その面白さは今ピークを迎えている。
●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで週1度開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。テレビっ子として育ち、ネットテレビっ子に成長した。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)。