スポーツ

大坂なおみが日本を選んだ理由、無名時代からの支援への恩義

「年間グランドスラム」も夢ではない大坂なおみ(写真/ゲッティイメージズ)

「彼女、本当はアメリカ人よ」。準決勝を前に、アメリカのある女性記者は悔しげにそうつぶやいたという。1月26日、全豪オープンテニスで優勝を果たした大坂なおみ選手(21才)。決勝戦は日本中の注目が集まり、NHKの生放送は38.5%(関東地方)の最高視聴率を記録した。

 全豪オープン優勝は男女通じて日本人初、世界ランク1位はアジア初の快挙だ。大坂選手は今、達成すれば女子シングルスではシュテフィ・グラフ選手以来約30年ぶりとなる1年で4大大会すべてを連覇する「年間グランドスラム」を目標に掲げている。

 日本が祝福ムードで盛り上がる一方、アメリカのテニス界は冒頭のように地団太を踏んでいるという。

「ナオミは3才からアメリカ在住で母語も英語。しかもアメリカはグランドスラム開催国であり、練習環境にも恵まれている。なのに、なぜ日本にナオミを持って行かれたのか。スポーツ記者の間では、“アメリカのテニス協会は一体何をしていたんだ”と言われています」(現地ジャーナリスト)

 大坂選手はハイチ系アメリカ人の父と日本人の母のもとに生まれ、日米の二重国籍を持つ。母・環さんは北海道出身で、父・レオナルドさんが英会話の講師として札幌に滞在している時に出会った。ふたりは周囲の反対を押し切って結婚し、大阪に移住。そしてプロテニスプレーヤーの姉・まり選手(22才)と大坂選手が誕生した。

 一家はアメリカに移住し、ハイチ人の祖父母と共にニューヨーク州南東部のロングアイランドで過ごした。姉の影響でテニスを始めたのもこの頃だ。

「レオナルドさんは若い頃バスケットボールをやっていてスポーツは万能。テニスの経験はありませんでしたが、セリーナ・ウィリアムズ選手(37才)などのプレーを独自に研究し、子供たちにテニスを指導したそうです」(テニス関係者)

 その後、一家はフロリダに移住。今も自宅と練習拠点はフロリダにある。大坂選手が日本代表としてテニスを続ける理由は、彼女がまだ無名だった頃に遡る。

「スポーツ用品メーカーの『ヨネックス』がスポンサー契約を結んだのは、彼女がまだ10才だった2008年でした。母親の環さんがヨネックスの当時の社長にサポートをお願いする直筆の手紙を書いた。それに心を打たれた社長はアメリカの子会社に視察を命じ、彼女のプレーを見た担当者が将来性を見込んで、用具の提供が決まったそうです」(スポーツ紙記者)

 大坂選手はアメリカテニス協会が主催するシニア大会にも出場していたが、目立った成績は残していなかった。そんな彼女にいち早く注目したのが、日本テニス協会の女子代表コーチをしていた吉川真司氏(41才)だった。

 2013年、大坂選手は15才の時に、日本の「東レ パン パシフィック オープンテニス」の予選に出場。予選1回戦で敗退したが、彼女のパワーや試合感覚を見た吉川氏は、「すごい才能だ」と目をつけた。

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト