「惚れっぽい性格で、性別問わず好きになり、トランスジェンダーの人とのおつきあいも経験しました。好きになった人がたまたま、女性や男性だったり、どちらでもなかったという感覚です」(吉野さん)
20才の時、吉野さんは友人に5つ年上の男性を紹介される。それが現在の夫だ。
「ごくごく普通に紹介されて交際が始まったのですが、“この人の子供がほしい”と思うようになって、23才で授かり婚をしました。夫は一般的な異性愛者ですが、結婚後に私がカミングアウトすると、どうやら気づいていたようです。『やっぱりね』と言っただけで、受け入れてくれました」(吉野さん)
現在の吉野さんは、3女1男の母として忙しい毎日を送る。子供たちにも自分の性的な指向はそれとなく伝えたが、「まだよくわかっていないみたい」と笑う。
同じくパンセクシャルの高瀬康平さん(20才)は6年間交際した男性と破局後、相談相手だった女性から告白されて交際をスタートした。
「セクマイの当事者にとって結婚や子供は、やっぱり気になる部分。ぼくは今の彼女と結婚したいし、彼女との子供もほしいと思っています」
そう語る高瀬さんは、パンセクシャルだからこそ自信が持てる部分があるという。
「人を性別で判断することはありません。人間性だけでその人を見るので、『男のくせに』とか『女らしく』という発想は頭に浮かびませんね」(高瀬さん)
パンセクシャルでよかったと考えるのは、吉野さんも同じ。
「女性には女性のよさ、男性には男性のよさがあるから、それらを全部味わえるのはすごくぜいたくなことです。女性とつきあうことで男性の気持ちも何となく理解できるようになった気がして、自分の視野が広がりました」(吉野さん)
※女性セブン2019年2月14日号