ここで赤報隊ならぬ赤衛隊事件の概要をまとめよう。まずは1987年1月、東洋新聞本社の外壁に散弾銃2発が撃ち込まれ、5月3日には目出し帽の男が横浜支局を襲撃。夕食中の記者1名の右手指を吹き飛ばし、1名が腹部を撃たれて死亡した。警察ではこの惨事を起きた日付にちなみ〈ハナコサン〉と呼び、声明文を出した赤衛隊の特定に総力を挙げたが、リクルート元会長宅銃撃や〈大利根康弘〉、〈竹本登〉元首相への脅迫も含め、8つの事件は全て迷宮入りとなっていた。

 そして事件は時効成立後の再捜査を総監直々に決めた〈特01号事案〉として復活。北郷が〈事件は公安が考えたほど複雑なものではない〉〈背景や余計な情報に惑わされず、通常の凶悪事件として見直す〉と促し、率直な意見を募る捜査会議のシーンは中でも見物だ。

◆次世代に警告を与えられる作品

「実はこれは事件当時、私が警察や右翼関係者、新聞記者にあたる中で話した会話が元になっています。なぜ犯人は目出し帽で顔を隠し銃身を短く切った散弾銃を使ったのかとか、なぜ犯行の後に一方通行を逆走し、見張り役のパンチパーマの男も含めて目撃されるほど慌てていたのかとか……。

 そうした疑問を潰していけば公安の言うような右翼犯行説にはならないはずなのに、彼らは声明文で〈反日分子〉一掃を掲げた犯人の思想背景に拘るあまり、事実を見誤ったんです。

 現場でも刑事部の人間は『少なくとも実行犯は右翼じゃない』と断言していて、今でいう半グレや散弾銃の扱いに不慣れな〈素人(トウシロウ)〉の線を追っていた。なぜそれが公安主導に傾いたのか、当時の政治状況や対刑事部との歴史的因縁に関しても、北郷には表面だけではない事実関係を語らせました」

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン