最大の弱点は「凍った路面に弱い」ということです。圧雪路は大丈夫でも、アイスバーンには苦手です。もちろん、サマータイヤと比べれば得意ですが、「スタッドレスタイヤ」(※注/積雪路や凍結路などを走行するために開発されたスノータイヤの一種)には負けてしまいます。
また、夏場の舗装路の性能は、やはりサマータイヤのほうが上。つまり、冬になると必ず雪が積もり、アイスバーンもできてしまう地域の人にオールシーズンタイヤは適していないのです。そういう地域であればスタッドレスタイヤを使いましょう。冬場はスキーに何度も行くという人もスタッドレスのほうが無難です。
結局、オールシーズンタイヤは、1年の間でほんの2~3日だけ雪が降って、翌日にはすぐに除雪されてしまうような地域の人に便利なのであって、間違っても「すべての季節に対応するというのだから、雪が積もってアイスバーンのできる地域でも大丈夫」などと勘違いしてはいけません。
じつは、日本の大手タイヤメーカーであるブリヂストンと横浜ゴムは、日本市場で乗用車向けの「オールシーズンタイヤ」を販売していません。
もちろん両社ともに製品は持っています。正確に言えばブリヂストンは、ブリヂストンタイヤ専門店で「ネクストリー タイプS」を専売していますが、表立ってカタログに掲載しない裏メニューのようなもの。横浜ゴムにも欧州向けの「ブルーアース 4S AW21」というオールシーズンタイヤがありますが、日本では発売していません。
話題になっている製品を持っているのに、大手2社の態度は消極的そのもの。そして、その理由が、先に挙げた「勘違いしてはいけない」というものです。「ユーザーが勘違いして、交通事故でも起こしたら大変だ!」と不安になっているのです。