児童相談所には、虐待に限らず、病気や失業などで生活に困窮している場合から、子供の成長に関するものまで様々な相談(養育相談という)が寄せられる。他方、警察からは非行少年の通告や送致を受け、対応しなければならない。そこに児童虐待の対応も激増している状態なのだ。非行事案なんて警察と家裁でやってくれ、というのが児相の正直な気持ちだろう。
Aさんも繰り返したのは、「養育相談と虐待対応は質が違う」ということ。にもかかわらず、児童福祉に関わることがほぼすべて児童相談所に丸投げされているという現実がある。
今後必要になってくるのは、激増する児童虐待に特化した機関の検討なのではないだろうか。幸い、育児支援に関しては、子供と家庭のあらゆる相談に応じ問題に対処する市区町村の機関として子ども家庭支援センターもある。例えば養育支援に関しては児相から切り離して子ども家庭支援センターと機能を統合し、児相を虐待に特化させ専門性を高めるといった施策を検討してもいいのかもしれない。
◆取材・文/大木信景(HEW)