◆習近平のコントロール下にある金正恩
繰り返しになるが、北朝鮮を非核化するにあたり協議すべき相手は中国も含まれる。習近平氏の承認なしに、金正恩氏は「勝手に」動くことはできない。だからこそ、金正恩氏は2018年3月以降に4度も中国を訪問したのだ。
習近平氏にしてみれば、最高指導者としての経験も能力もなく、恐怖政治に依存しなければ国を統治することが出来ないような金正恩氏を信用していないだろうから、中国が北朝鮮をコントロール下に置く必要がある。
北朝鮮の非核化は、米国と北朝鮮による2国間協議だけでは極めて困難なのだ。少なくとも米国は中国と協議を行い、北朝鮮の非核化への下地を作っておかなければ、北朝鮮に米国の要求を飲ませることは難しい。
しかし、中国を説得する時間は限られている。何も進展しない協議を続けているうちに、トランプ政権がレームダック化し、譲歩に譲歩を重ねたような「合意」や「宣言」は覆されることになるかもしれない。最悪の場合は、これまでと同様に、北朝鮮が経済支援を獲得して終わる可能性も十分に考えられる。
報道によると、トランプ大統領は2月19日、ホワイトハウスで記者団に北朝鮮の非核化について「核実験がない限り、急がない」と明言した。自ら逃げ道を作って自己満足と自画自賛のハードルを下げたようだが、そもそも2度目の首脳会談は開催する意味があるのだろうか──。
事前に実務レベルの協議がかなり用意周到に行われていなかったとしたら、1度目と同じように政治ショーで終わってしまうことになるだろう。