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刑事が公安にかなわないのは「尾行」、その理由とは?

容疑者を尾行する時のポイントとは?

 警察の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、刑事の尾行テクニックについて。

 * * *
 刑事と公安は仲が悪いというのは刑事ドラマなどではお馴染みだが、事実でもある。刑事たちは公安が嫌いだ。だが公安のことを良く言わない刑事たちでも、公安にはかなわないことが1つあるという。それが“尾行”だ。

「公安には追っかけ専門の人がいて、彼らは絶対に対象者を見失わない」

 そう語る元刑事も公安のことを良くは言わない。

「ある殺人事件で捜査本部が設置された時のことだ。公安部中心でね。公安1人を含めた刑事5人に、対象者のこれとこれとこれを行確しろと言われてね」

“行確”とは行動確認のことだ。対象者を尾行して、立ち寄り先や会った相手などを特定し把握するのである。

「5人全員、夕方5時に一斉に尾行に出発。5分後には『見失いました』って帰ってきたのは刑事たちだ。お前ら何してるんだ、それはないだろうって思うわけで。しばらくたったらまた『見失いました』って、刑事たちが帰ってくる。途中でダメになるんだよ。最後まで追っかけて帰ってくるのは公安部のヤツさ。いっつもだよ」

 元刑事は面白くなさそうに息を吐いた。

「結局、どう追いかけるかなんだよな。気付かれるんじゃないかとドキドキしながら追いかけてると、振り返られた時に見られた、気付かれたって思うんだよ」

 尾行している立場になれば、絶対にそう思うだろう。

「いや、実は見てねーんだよ」

 そう言って首を横に振る元刑事だが、実際、そういうものだろうか?

「あれ、誰かに見られてるなって感じがする時があるよな。振り返ったり見回したりするだろう。すると、追っかけてる側は、あっ見られたって感じるんだけど、振り返ったほうは自然の流れの中で見ているだけだから記憶には残らない。見ているようで見ていないんだ。例えば電車に乗って、自分の前の座席に女性が乗っている。じっと見られたから、こちらも女性を見たけれど、電車を降りたらもう女性の顔は忘れている。それと同じような感覚だな」

 振り返ったり、すれ違ったりする時、こちらは対象者を意識しているから見られたと思うのだと彼は言う。

「実際、追いかけてる時は気付かれたのか?と思っても、最終的にホシを捕まえて、調べをやるだろう。『何日の何時、こことここに行ったよな』と聞くと、『そこまで知ってんですか!』とホシが目を丸くする。『知ってるよ、追っかけてたからな』と言うと、『え~全然知らなかった』と驚くホシがけっこういたね」

 似たような話は他の元刑事たちからも度々聞いた。尾行を気にして、何度も電車や地下鉄を乗り換えたりするホシでも、案外、尾行している刑事には気付いていないものだという。それはなぜか?

「気配を消しているからだね」

 気配は消せるものなのか?

「普通にしていればいいんだよ。二人で話しながら尾行すれば、気配は消せる。それに見失うのは、対象者の特徴を掴んでいないからだ」

 対象者の特徴とは?

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