芸能

辻村深月、6年前に断った映画ドラえもん脚本手がけた理由

ルナ役・広瀬アリスと脚本・辻村深月のスペシャル対談(撮影/田中智久)

 春休みの風物詩として、子供からお年寄りまで幅広い層から支持される『映画ドラえもん』シリーズ。今回その脚本を執筆したのは、直木賞作家の辻村深月さんだ。ドラえもん映画の持つ最大の魅力である「時空間を超える」設定を最大に生かし、冒険の舞台を月の世界に。月に住む子供・エスパルのルナ役を演じた広瀬アリスと今作の魅力について語った──。

 3月1日に全国公開が始まる『映画ドラえもん のび太の月面探査記』。シリーズ39作目となる今作は「月」が舞台だ。

『映画ドラえもん』は4年連続で興行収入が右肩上がり。昨年の『のび太の宝島』ではシリーズ最高興行収入記録を樹立した。近年の盛り上がりを支えているのは大人たちだ。シリーズ映画とは異なるが、特に2014年公開の映画『STAND BY ME ドラえもん』以降は、ドラえもんをいったん卒業した世代が回帰し、祖父母・親・孫の3世代で鑑賞するなどファン層も広がりを見せている。

 来年、50周年を迎える漫画『ドラえもん』の劇場映画が生まれたのは、1980年。のび太と恐竜ピー助の絆を描いた『のび太の恐竜』を皮切りに、過去から未来を自由自在に行き来し、宇宙から地底、大海原までロマンあふれるさまざまな舞台で繰り広げられる冒険スペクタクルに心を揺さぶられる。

 1997年公開の『のび太のねじ巻き都市冒険記』の執筆中に藤子・F・不二雄さんがこの世を去るが、藤子プロや映画スタッフが製作を継続し、現在に至る。

 近年注目されているのは脚本家だ。昨年は『君の名は。』を世へ送り出した東宝の映画プロデューサー・川村元気さんが手がけ、今年は辻村さんが担当している。辻村さんは幼少期から『ドラえもん』や『パーマン』など藤子・F・不二雄作品の大ファン。2005年には章のタイトルをすべてドラえもんのひみつ道具にした小説『凍りのくじら』(講談社文庫)を書いたほどだ。

 辻村さんが「ある共通点」を見つけ、“いつか会ってみたい”と楽しみにしていたのが今作にゲスト声優として参加する広瀬アリス(24才)だ。そして広瀬もまた辻村さんのファンだったという。映画ドラえもんを通じて運命的な出会いを果たした2人の対談が実現した。

◆仕事としてかかわってしまうと、好きなだけではいられない

辻村:ドラえもんは物心ついた頃から大好きで、ストーリーはもちろん、書店で父にコミックを買ってもらったり、家族や友達と映画に行ったりと、思い出がたくさん詰まった大切な作品なんです。こうして作家になってドラえもんの話をすることも夢でした。ドラえもんの素晴らしいところは、どれだけ年齢差があっても同じ熱量で愛を語れること。世代を超えて愛され、みんなの日常と結びついた存在であることが大きな魅力です。

 だからこそ、映画の脚本を引き受けることはとても悩みました。6年ほど前に、最初にお話をいただいたのですが、本当に好きで幼い頃から見ていたので、仕事としてかかわってしまうと、ただ好きなだけではいられなくなってしまうだろうな、と。それがすごく怖くて。一生ファンでいたいからとその時は辞退したんです。

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン