3.1独立運動記念日に韓国の熱気は高まった(YONHAP NEWS/AFLO)
今回、韓国大法院判決が出た徴用工裁判は、実はそれで問題が解決するという類いのものではない。
「例えば新日鉄住金の裁判の原告は4名とごくわずか。だから彼らが賠償金を得たとしても、数万人にも及ぶと予想されている他の徴用工の問題は、まったく解決しないのです」(韓国人ジャーナリスト)
この裁判がことさら韓国内でクローズアップされたのは、裁判を支援する「民族問題研究所」の影響力が強かったからだといえよう。
民族問題研究所は「親日派バッシングを行動原則とする“極左”の市民団体」(同前)で、2018年8月29日にソウル市龍山区に「植民地歴史博物館」をオープンさせたことでも知られている。文政権とは“反日”という部分も含め、思想的に深く繋がっているとされる。
前出の崔事務局長は、「民族問題研究所は、我々のような被害者団体ではない。その本質は“政治団体”なのです」と指摘し、こう続ける。
「現在、民族問題研究所は被害者団体のふりをして、テレビを通じて原告探しまで行なっています。なぜ民族問題研究所の呼びかけに応じて被害者が集まらないといけないのでしょうか。
彼らの方針どおりに日本企業を訴えても被害者にはひとつもプラスにならない。なぜなら日韓関係が悪化すれば日本政府や日本企業はますます頑なになるでしょう。それによって残された徴用工問題の被害者が賠償を受ける機会が潰えてしまう可能性が高くなる。一部の被害者だけが補償を受け、他は置き去りにされるという不平等が起こる。そこで我々は被害者のための基本的な裁判を起こすことにしたのです」
その訴訟相手こそ、韓国政府だったのだ。