記者B:新聞労連の抗議にしても、実は南彰・委員長は望月記者と共著がある人物だから、現場の記者は冷めて見ている。それに官房長官会見を除けば、一時期のような政権による言論介入はみられなくなった。
民放の記者が言うには、ロシア外交について聞かれた河野太郎・外相の「次の質問どうぞ」という質問無視や桜田義孝・サイバーセキュリティー担当相の「USBは穴に入れるらしい」といった発言をワイドショーでコメンテーターが厳しく批判しても、官邸や自民党からは何も言ってこない。
水泳の池江璃花子選手についての桜田大臣の「がっかり発言」に野党は噛みついていたが、夜のニュースから報道をやめたのは、池江さんの心労の種になってはいけないという局内の自主判断といっていた。
記者D:政権の直接介入が減ったのは、メディア側が自主規制するからじゃないですか。沖縄の基地移設をめぐる県民投票結果を朝日、毎日、東京3紙は2月25日付朝刊で〈辺野古「反対」72%〉(朝日)など1面トップで報じたが、産経新聞のトップ記事は「海自観艦式 韓国招待せず」、読売に至っては「適量ですか 高齢者の薬」という企画ものを1面トップで報じた。政権に不利なことを書かないという自主規制がここまでなされれば、官邸は注文をつける必要もないでしょう。
●レポート/武冨薫(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2019年3月15日号