記者B:あれ、安倍さん楽しそうに見えた? 役人のお膳立てでキャッシュレスで買い物させられ、花屋ではPayPayで花束を買い、店の人から「花は誰に?」と尋ねられて、「妻です」と答えたのを見て、ずいぶん無理してるなと感じた。楽しい買い物なら、昭恵夫人に花は買わないだろう(一同爆笑)。
あのパフォーマンスを見て、安倍首相は本音ではまだ消費増税凍結という選択を残していると思った。だとすると、厚労省に時間稼ぎさせている理由もわかる。国会終盤の6月頃、株価や世界経済が悪化すれば消費税再々延期を決断する。その時に公表して、平然とこう言い放つんじゃないか。「再計算で実質賃金が2年連続マイナスだったとわかった。これでは増税は難しい」とか。
記者A:前回も、「リーマンショック級の出来事がない限り税率を引き上げる」と言いながら、いざとなると、「リーマンショック級の事態は発生していないが延期する」と平然と言ってのけた人だからね。
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外交も経済政策も、そして政治の針路についても、この国の政治家が表の記者会見で国民に語る言葉と、裏で進んでいる現実とがまるで違っていることが記者たちの話から伝わってくる(彼らもその片棒を担がされているわけだが)。
しかも、政治家の言葉は思いつきや面子の保持、あるいはその場かぎりの言い逃れでコロリと変わり、それを取り巻きや役人が忖度して外交方針や経済政策として既成事実化していく。そんな軽薄な政治の積み重ねがこの国の将来になにやら“ヤバい雰囲気”を漂わせている。
●レポート/武冨薫(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2019年3月15日号