国内

降圧剤で病気の兆候に気づきづらくなる? 医師は「必要ない」

医者がのまない処方薬一覧

「毒にも薬にもなる」という言葉がある。病気やつらい症状を治してくれる「薬」でも、効き目が強いがゆえに、服用の量や仕方を間違えたり、個人の体質と合わなかったりすることで、逆に体調を悪化させる「毒」にもなる。薬に精通する医師たちは、どんな薬に注意しているのだろうか。

 たとえば、“腟トレ”という言葉が市民権を得て久しい。何かと腟を美しく、健康な状態に保つことが正義とされて、自分で市販の腟洗浄液で腟洗浄をする女性も増えている。しかし、東邦大学医療センター大橋病院・婦人科の高橋怜奈さんは「腟洗浄は自分でしない方がいい」と指摘する。

「洗浄することによって腟内の善玉菌まで洗い流してしまい、細菌性腟炎やカンジダの原因になったり、おりものの状態がわからず病気の見逃しにつながったりする可能性があります」

◆「医師が出すけれど、医師はのまない」処方薬

 医師の診察に基づいて出される処方薬。ところが、なかには医師自身が「私はのまない」と言い切るものもある。

 4月のガイドライン改訂により、高血圧の基準値が現状の「140/90mmHg」から「130/90mmHg」へと、より厳しくなる見通しだ。血圧を下げる降圧剤の需要はますます増えそうだが、現場の医師たちは首を傾げる。新潟大学名誉教授の岡田正彦医師はこう話す。

「私は降圧剤全般をのまないことにしています。年齢とともに血圧は上がりますが、それは病気や不調が原因ではなく、必要があるからです。年を重ねると血管が硬くなるため血圧を上げることで全身に血液を運ばなければならない。特殊な病気や若年性の高血圧は別として、血圧を下げる薬は必要ありません」

 薬の効能によって、体の異変にも気づきづらくなる。

「体内の血圧を上げる物質の働きを抑えることで血圧を下げる『ARB』や『カルシウム拮抗薬』には炎症を抑える作用がある。薬で症状が抑えられた結果、高血圧以外の病気の兆候に気づきづらくなることが怖いため、のんでいません」(都内の内科医)

 必要ないどころか、降圧剤が病人をつくっていると指摘する声もあった。「クリニック徳」院長の高橋徳さんが言う。

「高血圧でも元気だった高齢者が降圧剤を処方された結果、頭に血が回らなくなってぼうっとしてしまうのはよくある話。認知症患者が増えているのは、降圧剤によって高齢者の血圧が必要以上に下がりすぎているからだという説もあるほどです」

◆コレステロール値を下げる薬には副作用が多い

 血圧同様、中高年になると気になるのがコレステロール値だ。実際、コレステロール値を下げるために薬を服用している女性の割合は50代から増えはじめ、70代になると3割にのぼる。その中でももっとも多く処方されているのは『スタチン』という錠剤である。高橋さんが解説する。

「スタチンは急激にコレステロール値を下げる半面、手足のしびれ、筋肉が破壊される横紋筋融解症など、副作用が多い。のみ続けるのは危険だというのが医師の見解です」

※女性セブン2019年3月21日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン