患者としては、歯科衛生士らスタッフが相次いで辞めるなどしていないか、常に歯科医院の動向に注意を払い、おかしいと感じたらカルテのコピーを求めるのも一つの手だろう。

 最近では歯科業界も、スケールメリットを生かした経営をする医療グループが増えているが、規模が大きいからといって、倒産しないという保証はない。

 京都や大阪で4つの歯科医院を経営する医療法人は、売上高7億1000万円に上っていた。が、2007年に同法人は、歯科医院を突然休診にした上で、京都地裁に破産を申し立て、解散したのである。負債総額は約3億6000万円だった。破産管財人を務めた弁護士は、こう振り返った。

「インプラント治療などの前払いをした患者さんが、何十人もおられたのは事実です。法人には資産がほとんどありませんでしたので、微々たる配当で我慢していただきました」

 規模が大きいグループでも、前払いの治療費は返ってこない事例がある以上、そうした支払い方法は可能な限り避けるのが、患者ができる自衛策となる。

●レポート/ジャーナリスト・岩澤倫彦(『やってはいけない歯科治療』著者)

※週刊ポスト2019年3月29日号

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