芸能

“黒幕=警察”に偏る刑事ドラマ、それでも視聴者が喜ぶ理由

『メゾン・ド・ポリス』の黒幕も警察だった(公式HPより)

連続ドラマの中でも人気ジャンルの1つである刑事ドラマ。最近、ストーリーの結末にある傾向が顕著だという。テレビ解説者の木村隆志さんがその背景に迫る。

 * * *
 冬ドラマの大半が最終回を迎え、ネット上には、おおむね「感動した」「続編が見たい」などの好意的なコメントが飛び交っています。

 しかし、一方で目立っていたのは、「また黒幕は警察かよ」「あまりに安易すぎるんじゃない?」という声。これらは刑事ドラマに寄せられたものであり、もちろん「見応えがあった」という声もありましたが、賛否両論なのは間違いありません。

『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)の黒幕は、警視庁から天下りした野間(佐野史郎)であり、捜査一課管理官の間宮(今井朋彦)が情報を流すという不正を働かせていました。

『トレース ~科捜研の男~』(フジテレビ)の黒幕は、元警視総監の息子で、現在は刑事部長の壇(千原ジュニア)。主人公・真野(錦戸亮)の家族を追い詰め、殺す指示をしていました。

『記憶捜査~新宿東署事件ファイル~』(テレビ東京系)の黒幕は、8000件超の犯罪を隠蔽した捜査一課長の十河(宅麻伸)と新宿東署の烏丸署長(勝野洋)。自らの保身に走った結果、多くの犠牲者を出してしまいました。

『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の黒幕も、留置場の担当官・草場(今野浩喜)でした。留置場は警察の管轄であり、担当官も警察官の一人です。

 なぜ「刑事ドラマの黒幕は警察」という結末に偏っているのでしょうか。

◆オーソドックスを好む刑事ドラマ好き

 最大の理由は、警察が「最も犯罪に手を染めてはいけない職業」であり、「主人公の刑事たちにとって最も苦戦する巨大権力」だから。

 刑事ドラマは基本的に一話完結型で、毎週さまざまな犯人の姿を描いていくため、最終回の黒幕はそれまで以上のインパクトがある人物が必要。警察組織トップの警視総監や、その他の幹部、あるいは現場トップの捜査一課長など、強大な権力を持つ人が黒幕になるケースが多いのはそのためなのです。

 また、主人公の刑事と、「上司と部下」という関係性になり、「最終回までに何度も登場させやすい」「不正や裏切りが明らかになったときのギャップが大きい」などの理由もあります。

 しかし、ここまで“黒幕=警察”という結末に偏っているにも関わらず、なぜ視聴者の中には、「見応えがあった」と好意的な人が少なくないのでしょうか。

 刑事ドラマを好む視聴者は、「一話完結かつ勧善懲悪のドラマを安心して楽しみたい」という保守的な人が多数派。「黒幕は、誰もが予想しなかった意外な人物である必要性はなく、誰が見ても権力を持つ悪人のほうが痛快でいい」という志向の人が多いようです。

関連記事

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン