国内

ネット架空請求詐欺 被害に遭う30代女性が急増している背景

 

やましい女性の気持ちにつけ込んだ架空請求が突然、やってきた

 アダルトサービスへの登録や利用料を請求する架空請求詐欺といえば、これまでは被害者といえば男性だった。ところが、ネットの文化が成熟してきたからだろうか、最近は女性の被害者が目立ち始めている。なぜ、特定の利用履歴を悪用した被害が女性に広がっているのか、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
「出会い系サイト」や「アダルトサイト」などを利用・閲覧したと偽り、不特定多数のネットや携帯電話ユーザーに利用料などの請求を送りつける「架空請求詐欺」。最近では、ありもしない訴訟や裁判を起こすなどと記したハガキを送りつける雑な詐欺も頻発しているが、今、その被害者にとある傾向が見られるようになってきている。特殊詐欺事件などを追い続ける週刊誌記者の証言だ。

「実は女性がターゲットにされるケースが多く見られるようになってきました。ご存知の通り、架空請求詐欺は送りつけられた側に何らかの“やましいこと”がないと成立しづらい。アダルトサイトや出会い系サイトであれば、男性なら誰もが一度は閲覧したことがあるでしょうから、もしかしたら? と思い、請求通りにカネを振り込んでしまう場合がある。こうしたアダルト系サイトのユーザー情報が名簿屋などから流出することで、よりターゲットを絞れるのですが、今は男性だけでなく、女性も狙われています」(週刊誌記者)

 オレオレ詐欺、架空請求詐欺などの「特殊詐欺事件」は全体的に減少傾向にあるが、オレオレ詐欺や還付金詐欺などと比べ、架空請求詐欺は認知件数、被害総額共に大幅に減っている。警察当局の尽力、マスコミによる周知が寄与していることは間違いないが、そうした現状を踏まえて、詐欺師たちは新たな手段を模索し始めた。

「女性向けアダルトサイトのユーザーリストが出回り始めました。BL(ボーイズラブ)アニメや、女性向けアダルトゲーム、そして動画サイトのユーザーが名前やメールアドレス、そして年齢、時にはそこに住所や勤務先まで記載されている。こうしたリストが、女性を狙った架空請求詐欺に利用されています」

 都内の名簿業者の男性がこう話すように、特にネット上のアダルトコンテンツといえば、主に男性向けのものが多かった。近年ではBL作品が広く女性に読まれるようになってきており、アダルトゲームや動画も、女性向けのコンテンツが増えた。この新しいマーケットに目をつけたのが、出版社でもテレビ局でもない、詐欺師たちだったというわけだ。

「男性同様、ネットを使ってアダルトコンテンツを楽しんだというのは、女性にとっても後ろめたい。その隙をつくのです。特にいいのは、メルアドさえ登録すれば有料で購入できるBLなどのコンテンツを閲覧するサイトの会員でしょう。著作権などを無視した違法サイトがとても多いのです。そうした人々に架空請求などで脅しをかければ、カネを支払う可能性は高くなるし、警察や弁護士といった法的機関に相談もされにくい。公には出ませんが、こうした女性たちが被害にあったという事例は当局も把握しているはずです」(前出の週刊誌記者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン