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西川(廣人)社長をはじめとした現経営陣は、ゴーン体制と決別するために奮闘しています。ゴーンが社内で何をしていたのか、西川社長も自らの口で真相を話し始めている。ただ、彼らは1999年当時、取締役にもなっておらず、内情を知る立場になかった。“ゴーンがどこで道を間違えたか”を明らかにするため、私にも語る責務があると感じるようになったこともあり、取材をお受けしました。
〈次々と明るみに出るゴーン氏の疑惑は、小枝氏にも驚きだった。昨年の逮捕の一報は、テレビのニュースで知ったという〉
これまで伝えられているのは、ゴーンの報酬額を実際より少なく記載した有価証券報告書を提出した金融商品取引法違反や、私的な取引の負債を会社に付け替えた会社法違反(特別背任)の疑い。それだけで経営者としてアウトと言わざるを得ないものです。さらに会社の経費でマンションやヨットクラブの会員権を買っていたという話は、挙げていくだけでも嫌になります。いかに功績のある人でも許されるものではありません。
◆2005年と2008年の「転機」
〈ではなぜ、“許されないこと”が日産でまかり通ったのか。小枝氏は、1999年当時のゴーン氏の印象を「最初は謙虚な男だった」と振り返る〉
当時、経営会議で厳しい提案をするゴーンに、他の役員から何度も反対の声が上がりました。すると一旦引っ込めるのですが、諦めずに次の会議で提案してくる。しまいには役員たちも「そこまで熱意があるなら」と、根負けしてしまう。