国際情報

韓国でなぜ突然「天皇アレルギー」が広がったのか

天皇陛下について報じた韓国紙(時事通信フォト)

 韓国では日本の天皇を「日王」と呼ぶのが一般化しているが、実はかつては韓国でも「天皇」呼称が使われていた。いつ、なぜ「日王」に変わったのか。韓国人のノンフィクション・ライターで『韓国「反日フェイク」の病理学』を上梓した崔碩栄氏が解説する。

 * * *
 日本の天皇を表す言葉として、韓国で現在一般的に使用される表現は「日王」である。天皇という表現を誰かが使いでもしたなら、すぐに批判が起こる。そして、騒動となればメディアを通してすぐに日本に伝わる。その報道を見た日本人は、韓国に対し「負のイメージ」を抱くようになるだろう。

 これについては、韓国で「親韓派」と呼ばれていた朝日新聞の若宮啓文元主筆が2015年8月12日の韓国日報への寄稿コラムで「勝手につけた『日王』という呼称に、ほぼすべての日本人が侮辱されたような気持ちになるに違いない。可能であれば、韓国政府とすべてのメディアが意見をまとめて『天皇と呼びます』と宣言しよう。それだけで、日本内の韓国に対するイメージははるかに良くなるに違いない」と指摘し、天皇という正式呼称で呼んで欲しいと訴えたことがある。

 まず、この問題の概要を説明する。

 そもそも、韓国社会が示す「天皇」という言葉への拒否反応は自然なものではない。というのは、過去には「天皇」という表現に対する反感など、まったくなかったからである。

 日本人の中には、韓国は日本の統治を受けた「過去」があるため、自尊心を傷つけられた韓国人が「天皇」という文字を見るだけで反感を抱いてしまうと思っている人が多いようだが、それは誤解である。韓国は戦後も「天皇」という表現を数十年間使ってきたし、それはごく当たり前の表現として受け入れられていた。

 もちろん、日本の統治を受けたという「過去」が韓国人の自尊心を傷付けたという事実は動かしがたい。それゆえに「天皇」という言葉がニュースや新聞で取り上げられるときは、たいてい、日本の朝鮮統治や太平洋戦争など、日本に対する良くないイメージが付加されてきた。しかし、そのような記事であっても韓国人は「天皇」という言葉自体には抵抗はなかったと断言できる。それだけ新聞や放送で当たり前に使用されていたのだ。

 それでは、終戦から数十年も経ったある日、唐突に発生した新型の「天皇アレルギー」の原因は何だったのだろうか? 韓国メディアはその由来を日本の「在日韓国人への指紋押捺強制」で説明しようとする。日本政府の在日韓国人に対する指紋押捺強制と在日韓国人たちの拒否運動が韓国で報じられ、対日感情が悪化した時から「天皇」に対する反感が生じたという主張だ。

〈1989年、在日同胞の指紋押捺問題で対日感情が悪化した時に、マスコミが「日王」と表記し始めて以降、天皇と日王の中間ぐらいの「日皇」という呼称も使ってきた〉(京郷新聞 1998年5月14日)

関連記事

トピックス

高橋藍の帰国を待ち侘びた人は多い(左は共同通信、右は河北のインスタグラムより)
《イタリアから帰ってこなければ…》高橋藍の“帰国直後”にセクシー女優・河北彩伽が予告していた「バレープレイ動画」、uka.との「本命交際」報道も
NEWSポストセブン
aespaのジゼルが着用したドレスに批判が殺到した(時事通信フォト)
aespa・ジゼルの“チラ見え黒ドレス”に「不適切なのでは?」の声が集まる 韓国・乳がん啓発のイベント主催者が“チャリティ装ったセレブパーティー”批判受け謝罪
NEWSポストセブン
歓喜の美酒に酔った真美子さんと大谷
《帰りは妻の運転で》大谷翔平、歴史に名を刻んだリーグ優勝の夜 夫人会メンバーがVIPルームでシャンパングラスを傾ける中、真美子さんは「運転があるので」と飲まず 
女性セブン
安達祐実と絶縁騒動が報じられた母・有里氏(Instagramより)
「大人になってからは…」新パートナーと半同棲の安達祐実、“和解と断絶”を繰り返す母・有里さんの心境は
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《小島瑠璃子が活動再開を発表》休業していた2年間で埋まった“ポストこじるり”ポジション “再無双”を阻む手強いライバルたちとの過酷な椅子取りゲームへ
週刊ポスト
安達祐実と元夫でカメラマンの桑島智輝氏
《ばっちりメイクで元夫のカメラマンと…》安達祐実が新恋人とのデート前日に訪れた「2人きりのランチ」“ビジュ爆デニムコーデ”の親密距離感
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《安達祐実の新恋人》「半同棲カレ」はNHKの敏腕プロデューサー「ノリに乗ってる茶髪クリエイターの一人」関係者が明かした“出会いのきっかけ”
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《“奇跡の40代”安達祐実に半同棲の新パートナー》離婚から2年、長男と暮らす自宅から愛車でカレを勤務先に送迎…「手をフリフリ」の熱愛生活
NEWSポストセブン
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン