◆クラス替えの確率
小学校や中学校では、年度初めによくクラス替えをする。クラスを組みなおすことで、児童や生徒たちの学校生活への取り組み意欲を高めたり、友だちの幅を広げさせたりする目的があるのだろう。
小学校でクラス替えをする場合、先生たちは、さまざまなことを考慮するようだ。クラス間で学力水準に差がつかないよう、児童を均等に分散させる。リーダータイプやムードメーカータイプなどの児童を各クラスに振り分ける。運動会のリレーのために、足の速い児童が特定のクラスに固まらないようにする。合唱会で伴奏ができるよう、クラス内にピアノのできる児童を1人は入れる……などなど。
ただ、クラス替えについて確率的な計算をするときは、そういう条件を考えていくと、どんどん複雑になる。そこで、先生たちのそういう考慮はいったん脇に置いて、「児童はランダムに各クラスに振り分けられる」としてみよう。この場合、クラス替えをした後に、前のクラスのクラスメートは、何人、自分と同じクラスに入るだろうか?
確率的な計算のためには、なにか具体的な設定が必要だ。今回は、ある学年の児童は全部で120人、1クラス30人で4つのクラスに分けられるものとしよう。あなたは、そのうちの1人だとする。クラス替えの前に、あなたには旧クラスメートが29人いた。このうち、何人がクラス替えの後にも、同じクラスに入るだろうか?
計算してみると、旧クラスメートのうち7人と一緒になる確率が最も高くて19.6%。つづいて、6人と一緒の確率が17.6%、8人の確率が17.2%となる。一緒になる人数の平均値は、7.07人となる。
この平均値は、次のように計算する。クラス替え後のあなたのクラスには、すでにあなたが入ってしまっているから、残りの人数は29人。あなた以外の児童119人のうち、29人があなたと同じクラスに入る。つまりクラス替え後に、あなたのクラスメートとなる確率は、24.38%(=29人÷119人)。旧クラスメート29人に、この24.38%の確率を掛け算して、7.07人(=29×24.38%)。
この平均値は、ざっくりと29人を4つのクラスに分けた場合の7.25人(=29÷4)とだいたい同じで、感覚的にも、まあ妥当なところといえるだろう。
では、何回もクラス替えをしたのに、小学校の6年間、ずっと同じクラスになるというクラスメートの数はどれくらいいるだろうか。