芸能史を彩った「破滅型スター」たち

「内田さんの単行本の発売イベントでミュージシャンの近田春夫さん、作家のモブノリオさんとトークショーをやるはずだったんですが、内田さんが急に機嫌を悪くして出てこない。困った2人が客を相手に場をつないでいると、30分くらいしてから突然、『ジョニー・B・グッド』がかかって、会場につながるエスカレーターの上に裕也さんが登場。ツイストを踊りながら降りてきて、会場のみんなもノリノリに。終わってみるとちゃんとしたショーになっているんです。どんなに敵を作ろうとも、“内田裕也はこうあってほしい”と周囲が願う人物像を、最後まで貫き通しました」

 音楽界の「破滅型スター」では、1959年に『黒い花びら』で第一回レコード大賞を受賞し、42歳の若さで亡くなった水原弘も外せない。

水原弘は42歳で亡くなった(共同通信社)

 高校時代から不良で鳴らし、スターになってからも取り巻きを大勢引き連れて盛り場をのし歩き、“飲む、打つ、買う”を地で行った。

 1965年に賭場への出入りが発覚し、芸能界を追放されるが、彼の歌唱力を惜しむ人たちのバックアップを得て、1967年に『君こそわが命』で復帰した。

「それでも私生活は相変わらずで、高級クラブでの豪遊が原因で3億5000万円もの借金を背負った。最後は自宅のベッドまで差し押さえられましたが、“どうにかして返済するよ”と、本人は笑っていたそうです」(当時を知る芸能関係者)

 1978年6月、巡業先のホテルで血を吐いて倒れ、その11日後に亡くなった。

※週刊ポスト2019年4月19日号

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