「検診で普及している便潜血検査は、ポリープがあると便に混じることがある血液を検出しようとする検査です。患者への負担が少ないというメリットがある半面、がんがあるのに検査で陰性となってしまう『偽陰性』が多いという問題点がある」(古川医師)
それゆえ、がんに気づいた時はすでに末期で、命を落とすケースが少なくなかった。
そうしたなかで登場したのが、“がんになる前”の段階で大腸がんのリスクを検出できる「Cologic(コロジック)」だ。
◆「予防」につなげられる
古川医師が解説する。
「血中の『GTA-446』という脂肪酸には炎症を抑える働きがあるのですが、大腸がん患者はこの脂肪酸の血中濃度が特異的に減少しています。
そこで『Cologic』では、血液検査でこの脂肪酸の数値を測定します。すでに大腸がんを患っている人はもちろん、まだ発症はしていないものの将来的に発症するリスクが高い『前駆状態(前段階)』かどうかも判定できます。
検査結果は『高リスク』と『低リスク』の2パターンで示され、高リスクの方は、低リスクと判断された方に比べて300倍も大腸がんの罹患リスクが高いことが判明しています」
高リスクと判定された場合、大腸内視鏡などの精密検査を勧められる。東京高輪病院でCologicを受診すると費用は1万7280円だ。検査時間は数分(結果受け取りまでは約1か月)、検査前の準備は特に必要ない。古川医師はこう続ける。
「これまで大腸がんの検査としてメジャーだった便潜血検査の問題点は、必ずしも精度が高くないのに『陰性』といった結果が出たことで、検査を受けた人が安心してしまうところにありました。
大腸がんのリスクは肉食中心の食生活など、生活習慣とも関係している。精度の高いCologicで、将来のリスクを知り、生活習慣の改善に努めることも大切です。家族に大腸がんの患者がいたり、便潜血検査で陽性が出た人にも受診を勧めます」
※週刊ポスト2019年5月3・10日号