やはりソウルスターリングだ。
デビューからGⅠJFを含む4連勝、桜花賞では3着に沈んだものの、オークスでは圧倒的な強さを見せた。3歳秋は毎日王冠から天皇賞(秋)、ジャパンカップと牡馬混合路線を歩みすべて着外。4歳時に牝馬戦線に戻ったものの、いずれも人気を裏切ってきた。前走・昨秋の府中牝馬Sでは、ディアドラやリスグラシューから1.2秒も離され、今回出走するフロンテアクイーンやクロコスミアの姿もはるか遠くになってしまう10着。とうとう今回は「競馬ブック」誌の“有力馬”にすら取り上げられなくなってしまった。
府中牝馬S後、左膝部分に腫れが出て、はっきりした骨折線こそみとめられなかったものの、中間手根骨に骨膜らしいものが認められ、山元トレセンで休養していた。12月半ばより騎乗調教を再開、当初はハロン18~20秒、1月に17秒~20秒、2月に16~18秒、3月には13~15秒と徐々にペースを上げてきた。4月3日に美浦帰厩、このレースで復帰することを明らかにした。過去10回騎乗しているルメールは騎乗停止、2回騎乗している北村宏は負傷離脱中(あと1回は短期来日中のC・デムーロ)のなか、藤沢和雄調教師は今年リーディング3位につけ、過去何度も「復活」を果たしている武豊に騎乗依頼した。
1歳時に牧場でひとめぼれして出資すると決め、デビュー戦の札幌から東京、阪神、また札幌と13戦すべて競馬場で応援に出かけ、2度のG1をプレゼントしてくれた・・・・ここ2年間の不振はすべてこの日のための伏線だったのかといまは納得している。引退まであと10か月余。「復活」にはちょうどいいタイミングだ。
●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター
※週刊ポスト2019年5月17・24日号