●その3「目先の反応が嬉しくて、際限なく先鋭化していく」
とくにSNSに顕著ですが、自分の目に入る世界は、自分と似た考えの人ばかりになりがちです。客観的には「おいおい、本気かよ」と言われそうな意見でも、「そのとおり」「さすが」と言われがち。人は弱くて愚かな存在です。「いいこと言ってるオレ(ワタシ)」というセルフイメージを肥大させるのに、それほど時間はかかりません。愚痴や悪口だけでなく、政治や社会に対する批判も、同じ落とし穴があると言えるでしょう。
●その4「自分を『悲劇の主人公』に仕立てるのが上手になる」
人生は、ままならないことの連続です。今という時代も、自分の環境や性格も、周囲の人間関係も、気に入らないことは山ほどあるでしょう。愚痴や悪口に精を出せば、自分を「悲劇の主人公」に仕立て上げることは簡単にできます。おとなしく従順に生きろという意味ではありません。批判精神を持って時に戦うのは当たり前の話。しかし、ネットに愚痴や悪口を書き込んでいるのは、単なるヒマつぶしで戦いでも何でもありません。
●その5「知らないうちに『困った人』のレッテルを貼られる」
これは、実名が原則のFacebookで起きがち。書き込んだ愚痴や悪口に「いいね!」を押してくれたり、やさしいコメントをくれたりしている人も、じつは心の中では「うわ、困ったヤツだな」「面倒臭そうだから、ちょっと距離を置こう」と思っています。いわんや黙って読んでいる人たちをや。知らぬは本人ばかりなり。面と向かって「ああいうこと、書かないほうがいいよ」と言ってくれる親切で勇敢な人は、まずいません。
うっかりダークサイドに堕ちないように、くれぐれもお気を付けください。そして、こうやってダークサイドに堕ちている人の悪口を書いている私も、間違いなくダークサイドの住人です。どうぞ遠慮なく「大きなお世話だ!」「お前には言われたくない!」といった罵倒の言葉を投げつけてください。そんな光景を見た方が、ひとりでも「ああ、醜い。あっちにはいかないようにしよう」と思ってくださったら、私としては本望です。