国内

国境を越える特殊詐欺 警察の「国際協力」で縮小できるか

タイ邦人詐欺団/羽田空港に到着した容疑者(時事通信フォト)

タイ邦人詐欺団/羽田空港に到着した容疑者(時事通信フォト)

 電話をかけて始まる特殊詐欺は、言葉の問題もあり国内で完結する詐欺事件だった。ところが、ネット経由で安く電話をかける方法が普及し、国境を越えた活動が特殊詐欺の世界に広まっている。国際化する特殊詐欺の世界について、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
 特殊詐欺の「国際化」が止まらない。

 タイのリゾート地・パタヤを拠点に、日本向けに「振り込め詐欺」を行なっていた日本人の男ら15人について、警視庁は逮捕状を請求した。間も無く身柄を日本に移され、日本領に入った瞬間に、航空機内で逮捕される見通しだ。15人の身柄はタイ当局下に置かれており、今なお犯行の全貌は見えてこない。しかし、関係者に取材を進めていくと、驚くほどシステマチックな詐欺のシステムと、日本の暴力団、そして海外マフィアまでが加担する「国際化」の現実も見えてきた。

 今回筆者の取材に応じてくれたのは、九州地方在住の元暴力団の男性(30代)。10代の終わり頃に“警察の暴力団名簿にも載っていた”(男性)というが、週に一度、組事務所の「当番」といわれる泊まり以外に、暴力団らしい仕事をした経験はない。その後、飲食店経営などをやるうちに自然と「カタギの仕事」で生計が立つようになり、暴力団から足を洗った。とはいえ、今も本職との付き合いはあり、かつて所属した組以外の人間とも交流が深い。

「私のように、一応本職ではないが組との付き合いもある、いわゆる“半グレ”が増えたでしょう。半グレはあくまでもカタギ(一般人)だから、なんでもできる。例えば、某広域指定暴力団は“組員に特殊詐欺をさせるな”とわざわざ通達まで出していますが、実際には黙認されている。儲けを出して上納金出す人間にあれこれ言えないんです。組員がこっそりやる場合と、組員が半グレなどにやらせる場合があるが、最近は後者のパターンがトレンド。半グレが特殊詐欺の出し子や受け子を捕まえてきて、暴力団員を介して、詐欺の現場に送る。結局、裏には絶対に暴力団がいる」(元暴力団男性)

 半グレによるリクルートは、先輩後輩、そして地縁を辿って行われてきたが、最近では逮捕されるリスクも高く、末端要員集めは容易でなくなった。筆者がこれまでも書いてきた通り、SNSを通じたリクルートも行われているが、人材の「質の低下」は免れない。その結果、思わぬところからボロが出て、組織もろとも検挙される危険性も高い。そんな時、これら違法組織にとって「渡りに船」ともいうべき新たなパートナーが現れたのだという。

関連記事

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン