「具体的には言えませんが、東アジアを拠点にする海外マフィアです。彼らと日本の暴力団は、かつてもシャブ(覚せい剤)やコカインなど違法薬物の取引においても協力関係にありましたので、必然的にこうなったのかなと。日本で集められた詐欺の末端要員は、暴力団を通じて、現地マフィアが用意するハコ(詐欺の拠点)に送り込まれ、日本向けに詐欺電話をかけまくる。マフィアの息のかかった役所、警察がいるエリアであれば、まず逮捕される心配はない。中国にマレーシア、タイ、フィリピン…。各国に少なくとも数十人ずつの日本人詐欺グループがいます」(元暴力団男性)
これら海外マフィアは、海外で詐欺拠点を準備したり、詐欺要員たちの監視をするだけではない。お互い東アジアを拠点にしているという「地の利」を、そして社会の相似点を利用し始めた。
「日本で、中国向けに”振り込め詐欺”の電話をしていた集団が一斉に挙げら(検挙さ)れたでしょう。これは、同じ海外のマフィア、そして日本国内の暴力団が関与していると聞いています。東アジアは日本と距離的にも近く、時差もそれほどない為に詐欺電話をかけやすい。また、特に中国と台湾、そして韓国は日本と同様に高齢化社会で、若者が金に困っているという状況」(元暴力団男性)
3月から4月にかけて、千葉県や山梨県で入管難民法違反で逮捕された台湾籍の男女グループが、中国向けの特殊詐欺で「かけ子」をやっていたとみられると警視庁が発表している。中国の高齢者を標的にした特殊詐欺に関する台湾警察からの情報提供をもとに捜査した結果、彼らの活動が覚知され逮捕に至った。特殊詐欺を摘発するには、国際協力が不可欠となりつつある。
ともなれば、日本国内で起きたような事件…例えば先鋭化した特殊詐欺集団による強盗殺人事件などが、中国や台湾で起こることもあるのか。大手紙記者の解説。
「実は、日本で逮捕された台湾人が結構(上部)組織のことを話しているらしく、日本当局は海外当局とも情報交換をしている可能性があります。またタイで逮捕された日本人達も、うっすらと“詐欺をする”ことを承知で現地に行ったものの、携帯を取り上げられ監視され、奴隷レベルの生活を送っており一刻も早く逃げ出したかったというのです。警視庁の捜査にかなり協力するのではないか、そう見ています」(大手紙記者)
日本当局がどうやっても一掃できなかった特殊詐欺集団も、各国当局が束になってかかれば今度は…。淡い期待を抱きつつ、捜査の進展を見守るしかない。