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老け込んだ自分にショックを受け一念発起、空の巣症候群の女性

早乙女さんが34才の時の写真。今の方が仕事は忙しいけれど充実していると語る

「ママがいちばん好き」と言ってくれたかわいい乳幼児期から、口もきいてくれなくなったつらい反抗期を経て、ようやく一人前になって旅立つわが子…これで育児もひと段落、自由時間も増えて喜ばしいこと尽くしのはずなのに、なぜかやる気が起きない──。それは「空の巣症候群」(からのすしょうこうぐん)のせいかもしれない。

 空の巣症候群とは、子育てにすべての情熱を注いできた40~50代の母親が、子供が巣立った後、心が空っぽになり、何もやる気が起きない、生きている意味がわからない、眠れないなどのうつ症状に陥ることだ。

「まさか私が空の巣症候群になるとは思っていませんでした。だって、“早く自立してほしい”と願っていたんですから」

 こう話す早乙女わかこさん(55才・仮名)は、ひとり息子が6才の時に離婚。以来、生活のために介護の現場で働いてきた。忙しい職場で、わき目も振らず、子育てと仕事にまい進してきたのだ。

 ところが2年前の3月、息子が就職し、ひとり暮らしをするために家を出ると、さびしさが押し寄せてきた。

「出て行くのは半年前からわかっていました。私には友達もいるし、仕事もある。これでようやく好きなことを邪魔されずにできる。そう思ってワクワクしていたのに、引っ越しのため息子の荷物を運び終え、“さよなら”をした途端、急にどうしようもないほどのさびしさがこみ上げてきたんです。今思うと、ひとりぼっちになることに、気持ちが追いついていなかったんですね」

 ぽっかりと心に穴をあけたまま、なんとか仕事にだけは通い、気を紛らわしていた。ところが、過労のせいか五十肩を発症。痛みのあまり動けなくなってしまった。

「息子の独立後すぐ、更年期障害、五十肩が発症。まさにトリプルパンチでした。仕事と病院に行くために外出するのが精一杯で、それ以外はほとんど家で寝て過ごしていました。それまでは友達とランチに行ったり、ブログも頻繁に更新していたのですが、パッタリやめた…というか、できなくなりました。すべてを投げ出しました」

◆老けた自分にショック! 一念発起で復活

 半年が過ぎた頃、五十肩が改善し、徐々に体が動かせるようになった。そんなある日、鏡を見て愕然とする。

「家にこもっているうちに白髪やしわが増え、自分でも驚くほど老け込んでしまったんです。このままじゃダメだと思い、外に出るようになりました」

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