国内

共産党に読ませたい天才数学者・志村五郎の天皇制論

評論家の呉智英氏

 左翼と言えば天皇制に反対するのが普通だった時代は過去のもの、今では日本共産党も新天皇陛下即位にまつわる様々な議決に反対しなくなった。評論家の呉智英氏が、天才数学者の志村五郎による天皇制論について解説する。

 * * *
 五月十日付朝日新聞は「陛下即位の賀詞議決 共産党も出席・賛成」と報じている。共産党は一九九〇年秋の新帝即位礼ではまだ賀詞に反対していたのに。ほんの一ミリずつの後退だから目立たないが、気づいたら百キロも逃走していたようなものだ。天皇制打倒を叫んで投獄されたり虐殺されたりした先人に、どう申しわけするのだろう。あるいは、あと五十キロも後退してから反転攻勢に出るつもりなのか。共産党以外の過激派や市民派も小規模な集会やデモをやっている程度だ。左翼の衰退は歴然たるものになっている。

 私は天皇制擁護論者ではない。私の理想とする政治は哲人政治、すなわち「徳による階級制」(小島祐馬『中国思想史』)だからである。これは「世襲を防ぐ作用」を有する。徳が血統によって受け継がれるはずがないからだ。ましてや徳も知性も問われない民主主義的平等思想など、私が最も嫌悪するものである。

 詳論は機会を改めて述べるとして、産経新聞の一面コラム「産経抄」(五月六日)で面白い本を知った。五月三日、八十九歳で亡くなった数学者志村五郎『鳥のように』というエッセイ集である。

「志村さんは、中国の古典文学に関する研究書など、数学とは関係のない原稿も数多く残している」という。調べてみると『中国説話文学とその背景』という準学術著作もある。その志村が「戦後の論壇に大きな影響力を持っていた政治学者」丸山真男の「歴史認識の誤りや教養の欠如を批判していた」とある。

関連記事

トピックス

雅子さまの定番コーデをチェック(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《“定番コーデ”をチェック》雅子さまと紀子さまのファッションはどこが違うのか? 帽子やジャケット、色選びにみるおふたりの“こだわり”
NEWSポストセブン
無事に成年式を終えられた悠仁さま(2025年9月、東京・港区。撮影/JMPA) 
悠仁さま、成年式での凛々しい姿にSNSで好意的コメント多数 同級生がテレビ番組で微笑ましいエピソードを披露し、“普通の高校生”だった様子も明らかに 
女性セブン
警察官の制服を着た金髪の女性“ベッカ”(インスタグラムより)
「いたずら警察官ごっこと身体検査」イギリスで“婦警風の金髪美女インフルエンサー”に批判殺到で正体が判明、地元警察が「8月に退職済み」と異例の声明
NEWSポストセブン
前相撲デビューになるが…
《史上最強の新弟子》伊勢ヶ濱部屋・オチルサイハン、兄弟子たちも歯が立たないその強さ 出稽古にきた横綱・豊昇龍も負けを重ね、自信喪失で休場につながった説も
週刊ポスト
「慰霊の旅」で長崎県を訪問された天皇ご一家(2025年9月、長崎県。撮影/JMPA) 
《「慰霊の旅」を締めくくる》天皇皇后両陛下と愛子さま、長崎をご訪問 愛子さまに引き継がれていく、両陛下の平和への思い 
女性セブン
おぎやはぎ・矢作兼と石橋貴明(インスタグラムより)
《7キロくらい痩せた》石橋貴明の“病状”を明かした「おぎやはぎ」矢作兼の意図、後輩芸人が気を揉む恒例「誕生日会」開催
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
「一体何があったんだ…」米倉涼子、相次ぐイベント出演“ドタキャン”に業界関係者が困惑
NEWSポストセブン
エドワード王子夫妻を出迎えられた天皇皇后両陛下(2025年9月19日、写真/AFLO)
《エドワード王子夫妻をお出迎え》皇后雅子さまが「白」で天皇陛下とリンクコーデ 異素材を組み合わせて“メリハリ”を演出
NEWSポストセブン
「LUNA SEA」のドラマー・真矢、妻の元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《大腸がんと脳腫瘍公表》「痩せた…」「顔認証でスマホを開くのも大変みたい」LUNA SEA真矢の実兄が明かした“病状”と元モー娘。妻・石黒彩からの“気丈な言葉”
NEWSポストセブン
インタビュー時の町さんとアップデート前の町さん(右は本人提供)
《“整形告白”でXが炎上》「お金ないなら垢抜け無理!」ミス日本大学法学部2024グランプリ獲得の女子大生が明かした投稿の意図
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン