実は、悪意やイジリをベースにした番組は、今春に限った話ではなく、昨年から今年の冬にかけて徐々に増えていました。

 バラエティーでは、昨年秋スタートの『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)は山奥で暮らす人を、同じく昨秋スタートの『消えた天才』(TBS系)は各界でトップになれなかった人を、昨年春にゴールデンタイムに移動した『帰れマンデー見っけ隊!!』(テレビ朝日系)は飲食店がほとんどない田舎町をイジるというベースのもとに作られた番組です。

 ドラマでも今年の冬に放送された『トクサツガガガ』(NHK)は特撮オタクを、『日本ボロ宿紀行』(テレビ東京系)は寂れた宿を、『絶対正義』(フジテレビ系)は正義感やモラルを押し付ける人を徹底的にイジリました。

 今年2月に公開された映画『翔んで埼玉』のヒットも、エンタメ業界における悪意やイジリのブームを裏づけています。つまり、業界全体で昨年から少しずつ蒔いてきた種が、今年の春になって咲いているのでしょう。

 イジリの方向性や強度を間違えたり、対象者へのフォローが不十分だったりしたときは、「即クレームやバッシングに直結する」などのリスクが依然として残っています。それでも、多くの視聴者が楽しんでいる上に、笑いの幅を生み出せるなど作り手にとってもやりがいのある番組のため、まだまだ増えるのではないでしょうか。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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