芸能

元地下アイドル・姫乃たまさん「いまが一番平和で楽しい」

平成が終わるとともに「元地下アイドル」になった姫乃たまさん

平成が終わるとともに「元地下アイドル」になった姫乃たまさん

 アイドルを卒業したあと、彼女たちは何をしているのか。アイドル生活10年を経て“元地下アイドル”でライターとなった姫乃たまさんは、いま何をして、これから何をするのか。誰かに辞めさせられるのではなく自分の意思でアイドルを辞めたいと決意するに至った理由、そして、アイドルでなくなったことで見えてきたファンとの関係性について綴ります。

 * * *
 元地下アイドルになりました。2009年4月30日から2019年4月30日まで、ぴったり10年間の地下アイドル生活でした。

 地下アイドルの看板を下ろすと宣言したのは、去年の夏のことです。いろんな理由で肩書きを下ろさなければいけないと思っていて、活動内容の具体的な変更については「地下アイドル関連の事件が起きた時にマスコミ対応をしない」くらいしか考えていない見切り発車でした。

 私自身、肩書きが無くなるだけで目に見える変化はないかもしれないと期待していなかったのですが、宣言後にメジャーデビューが決まり、現在も変わりゆく環境の中で心穏やかに過ごしています。

 地下アイドルとしての私の10年間は、ライブハウスでの地下アイドル活動とマスメディアの仕事とのバランスを取るのに苦戦し続ける日々でした。

◆「地下アイドル残酷物語」を求められて

 そもそも私がこの不思議な肩書きを名乗り始めたのは、活動を始めた当時、インディーズのアイドル文化がいまほど明文化されていなかったからです。自分をアイドルと名乗るのに違和感を覚えていたので、まだ確立していない「地下アイドル」の肩書きがちょうどよく感じられたのです。

 地下アイドルを新しいジャンルとして捉えると、途端に自分や共演している女の子たちの荒削りな部分がむしろ魅力的に感じられて、まだ世間に知られていない地下アイドルの面白さを文章にしたいと思うようになりました。

 しかし、自分自身の体験談や、地下アイドルとファンの人たちを取材して書いた文章が予想外の反響を呼んだことで、想像していなかった状況に巻きこまれていったのです。

 AKB 48のヒットを受けてアイドルが社会的ブームになると、ライブハウスの中で活動している地下アイドルにもマスメディアの関心が集まりました。テレビや週刊誌に地下アイドルの露出が増える一方で、貧困や接客の過剰さなどを面白おかしく取り沙汰しただけの内容も増えていきます。

 私は2015年に地下アイドルについてまとめた『潜行 地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー刊)を出版した時、書籍紹介と言われて受けた取材で、枕営業の有無とファンの危険性についてしか聞かれなかったことがありました。

 たしかに私は地下アイドルの闇にも文章で触れてきましたが、それは彼女たちの魅力と輝きが前提にあってのことです。自分で文章を書くのはいいけれど、書籍紹介の名目で面白おかしく消費されるだけの記事に加担するのは不本意でした。結局、ネガティブなエピソードを話さなかったせいか、取材後は音沙汰なく、書籍が掲載されることもありませんでした。

 しかしこの頃から、世間が求めているのは消費しやすい地下アイドル残酷物語で、書き手の愛情など関係ないのではという考えが頭をもたげるようになります。むしろ私の書いてきた文章が、闇の部分だけ切り取られて、そうした記事を生むきっかけになってしまったのではないかと取り返しのつかない気持ちになっていったのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン