RXはアメリカ向けのラージサイズセダン「アヴァロン」をベースに作られている。もちろんしっかり作ってあるのだが、いかんせん車体やシャシー(サスペンションやブレーキなど)の能力には制約がある。
RXが発売された当時、トヨタはレクサスをメルセデス・ベンツやBMWなどに拮抗するブランドに育てようとしており、その一環で走行性能を上げようとしていた。その心意気はよしとして、シャシーに能力以上の仕事をさせようとすると、得てしてがさつな味付けになってしまう。RXとその下のミッドサイズSUV「NX」は、その悪影響がモロに出ていた。
今回のRX450hLも事前に一番懸念していたのはその点だったのだが、乗ってみるとまったく問題なしであった。無理をしすぎると良くないとみて自然なチューニングに回帰したのか、3列シート車だからそういう味付けにしたのかは定かではないが、シャシーの能力を過剰に使わず、無駄にもせず、それにぴったり見合ったチューニングをやるのがクルマを良くする一番の方法なのだ。
サスペンションが柔らかくなり、車体の揺れを抑制する減衰力も弱められたことで、高速道路を降りてからの群馬の山岳路などでの敏捷性はサスペンションの固かった標準型に比べるとそれなりに落ちるように感じられた。
だが、多人数乗車のドライブではそれは何らかのアクシデントで緊急回避を必要とするようなシーンに出くわさないかぎり問題にはならないだろう。多人数乗車のレジャーツーリングでドライバーが速度制限を大幅に逸脱しながら山岳路をブッ飛ばすなど、普通はやらないからだ。
ゆったりとした走りに徹しているかぎり、RX450hLの室内は荒れた道、未舗装路などでも上々の快適さが保たれた。また、敏捷性が低いと言ってもクルマ酔いするような揺り戻しは実によく抑えられているのも好感が持てた。