もちろん、経営に暴力団が関係しているのは一部の店の話だが、羽振りのよさをみて幹部たちも興味津々となり、先輩たちに出店アドバイスをしているという。今後はヤクザ系のタピオカ屋が増えるかもしれない。
「コストをかけずにブームのうちに稼ぎ、潮が引いたら撤収するつもり。だから店舗より移動販売がいいかもしれない。ヤクザ、カタギに関係なく、経済活動は楽して暴利、一攫千金が基本。クオリティを下げて儲ける努力はしても、こつこつ努力していいものを作るなんて愚の骨頂」
◆「流行はメシの種」
タピオカ屋は、彼らにとって突飛な商売ではない。暴力団は犯罪組織というよりよろず屋で、幹部や組員たちはそれぞれ個人事業主であり、合法、非合法にかかわらず、様々な仕事で金を稼いでいる。
ヤクザの商売といえば、非合法、または非合法スレスレというイメージがあり、インターネットカジノや裏DVDの販売、非合法な風俗店、繁華街のぼったくり店を想像するかもしれない。その手の店が暴力団に寄生されやすいのは事実だが、“グレーな商売”ばかりが暴力団のシノギではない。
これまでも、首都圏でそこそこ知られた喫茶店チェーンを暴力団組員が経営していた例を取材したし、一昔前、バターをふんだんに使った高級食パンがブームになった際、関西の有名店を経営していたのは九州の指定暴力団だった。当時、私が在籍していたヤクザ専門誌にその団体の幹部も連載していたため、編集部にはいつもそのパンが差し入れられた。第3次ブームとされるタピオカ同様、高級食パンも再びブームだから、また手を出しているヤクザがいることだろう。