◆「目標」ではなく「手段」
皇族方はほとんどが英語圏への海外留学を経験している。中学、高校時代に数週間~1か月のホームステイをし、その後、大学卒業までに長期留学を経験するというパターンが多い。皇族が選ぶホームステイ先には、ある共通の傾向がある。
「1974年に当時中学3年だった天皇陛下がオーストラリアで11日間のホームステイをした際、上皇ご夫妻が出した受け入れ先の条件は『同じ年頃の子供がいる家庭』でした。同年代との交流が、国際的な視野を持つことに繋がるという考えです。2013年にアメリカで1か月ホームステイした佳子さまも、ステイ先には同世代の子女がいた」(同前)
天皇はある講演会での質疑応答でこのように語ったことがある。
「各国の方とお友達になったとき、日本の文化、風習、伝統、“日本はこういう国なんだ”と海外の方に直接お伝えできます。自分の知識を深めるのと同時に、日本のいいところをどんどん世界に広めるためにも留学はいい機会だと思います」(2015年に学習院大学で行なわれた、三笠宮彬子女王の『オックスフォードに学んで』講演)
皇族方にとって、英語習得自体は「最終目標」ではない。日本の代表として世界と向き合うための「手段」なのだ。当然、英語への理解やモチベーションも高くなる。その自覚の強さこそが、高い語学力の礎なのかもしれない。
※週刊ポスト2019年6月28日号