図のケース【4】がそれだ。60歳から月給25万円で働き、厚生年金の月額16万円(報酬比例部分10万円)を5年繰り上げて受給した場合。まず、繰り上げで年金額は30%減の11万2000円になり、さらに繰り上げて7万円となった報酬比例部分は在老によるカットで月額5万円まで減らされる。受け取れる年金は9万2000円で40%以上の大幅カットになる。強い抵抗感が生じるのは当然だ。
在職老齢年金が廃止されれば、同じ状況の人が65歳までの5年間で受け取れる額は120万円も増えるのだ(ケース【5】)。社会保険労務士の北山茂治氏が解説する。
「歳を取って体の自由が利かなくなってから多額の年金を受け取っても、使い道に困るケースは少なくない。在職老齢年金の廃止で、『働きながら繰り上げ受給』が、より有力な選択肢となってくるでしょう」
※週刊ポスト2019年6月28日号