国内

がんの名医ががん保険に入らない理由 自費治療は必要ない?

がんの名医はなぜがん保険に入らないのか?(写真/PIXTA)

 今、家計を見直す人が急増している。金融庁が6月3日に発表した「高齢社会における資産形成・管理」報告書に記された《老後の30年は年金では賄えず、2000万円の貯蓄が必要になる》という文言に端を発した、いわゆる“2000万円問題”が世間を騒がせているからだ。政府はのちにこれを撤回したが、依然として、国民の中に一度生まれた老後資金への不信感は拭えない。

 1児を抱えながら都内で正社員として共働きする高橋さん(42才)は、こうため息をつく。

「ニュースを見て、すぐに家計の見直しを始めました。私立に入れた子供の学費は削れないし、家のローンの返済もまだまだ道半ば。そうやって家計簿の項目欄を見ていくと、やっぱり気になるのが『保険』かな、と思うんです。特に掛け捨てのがん保険に月5000円払っていますが、もし一生がんにならなかったら完全に無駄じゃないですか。でも、今は2人に1人ががんになるともいうし…。“正解”がわかりません」

 ある意味、保険はギャンブルのようなもの。たしかに、何が最善の策なのか見極めるのは至難の業だ。

 そこで本誌・女性セブンは、手術や検診、緩和ケアなど、がんの実態を知り尽くしている名医たち13人に、それぞれが「入っているがん保険」について徹底取材。家計の見直しは、読んでからでも遅くない。

◆がんの標準治療は意外と安い

「がん治療には高額な治療費がかかり、その実情を知っている医師たちは、さぞや手厚い保障が受けられる保険に入っているのだろう」──そう感じる人も多いだろう。しかし取材の結果、いちばん多かった回答は「がん保険には加入していない」というもの。具体的には13人中6人、つまり約半数は加入していなかったのだ。

 その理由を、放射線によるがん治療に詳しい北海道がんセンター名誉院長の西尾正道さんが話す。

「手術をはじめとした基本的ながん治療は、保険診療で対応できると考えています。たとえ抗がん剤や放射線治療で高い治療費がかかったとしても、日本には『高額療養費制度』というものがあり、自己負担額が一定の金額以上にはならないようになっているのです」

 高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った金額が、ひと月で上限額を超えた場合、その超過額を支給してもらえる制度のこと。収入額によって負担額が異なるが、たとえば69才以下で年収が約370万円以下の人なら月5万7600円が自己負担の限度額となり、それ以上の金額は基本的には戻ってくる仕組みになっている。

 この制度でまかなえるのは基本的には、手術・抗がん剤をはじめとした薬物治療・放射線治療といった「標準治療」だ。

 だが、がん治療をとりまく状況は日々進歩しており、標準治療以外にも「免疫療法」や「国内未承認の抗がん剤治療」など、さまざまな治療法がある。これらは基本的に保険適用がなく、治療費をすべて自己負担でまかなわなければならないことが多い。しかし、多くの医師たちは「メリットが少ない」と言う。

『がんで助かる人、助からない人』(旬報社)の著書がある、がん専門医の近藤慎太郎さんはこう語る。

関連記事

トピックス

“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン