この本のもうひとつの大きな魅力は、ごはん。どて煮屋や姉妹の食卓に並ぶ季節の料理は、色とりどりで目にも嬉しい。でも、圧倒的存在感を放つのは、やっぱり名古屋めし。付録の名古屋案内には、手羽先・味噌カツ・どて煮・海老ふりゃあなどがぎっしり描かれていて、その茶色さには地元民でも少したじろぐほど。名古屋在住のねこまきさんの愛と本気を見せられた思いがした。濃いめの味で、ハイカロリーだけど、名古屋めしは強く愛されているのだ。
そういえば、昔お母さんが作ってくれたお弁当も、茶色くて地味だけれど美味しかったなあ、と、またひとつ記憶がよみがえった。茶色って、幸せな思い出とつながっている色なのかもしれない。
【Profile】
川田智美さん●1982年生まれ。現在、精文館書店書籍商品部コミックチームバイヤー。新刊やメディア化作品の仕入れに奔走しつつも、日々素敵なコミックと出会えることに喜びを感じている。
※女性セブン2019年7月4日号