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「うまい棒」はなぜ40年間ロングセラーを続けられたのか

やおきん営業本部のある埼玉県八潮市のオフィスにも大きく「うまい棒」が描かれている

やおきん営業本部のある埼玉県八潮市のオフィスにも大きく「うまい棒」が描かれている

──うまい棒のヒットの要因のひとつは、なんといっても発売以来「10円」という値段を変えていないことにあると思います。

角谷:そこはとても苦しいご時世なので、あまり強調してほしくないのがホンネです(苦笑)。

 これまで「安くておいしい駄菓子を作る」というコンセプトを基本ベースに、うまい棒であれば味と香りをつけるシーズニング工程でも決して妥協せず、製造元のリスカさんと一緒になって味の改良を重ねていけたからこそ、高品質と低価格を維持できています。

 10円という価格を守り続けてきた裏では、コツコツと工場の設備投資でオートメーション化を実現したり、配送コストを少しずつ削減させたりするなど、地道な効率化やコストダウンも図ってきました。

 しかし、いまはコーンや油など原材料のすべての価格が上がっていますし、運送費も上がっています。10月には消費税も上がりますね。これからも製造メーカーや原料メーカー、運送会社など、製造にかかわるすべての人たちの協力をいただき、できる限り10円で頑張りたいと思っていますが、厳しい状況に変わりはありません。

──2014年からは1本20円の「プレミアムうまい棒」も発売しています。

角谷:これは利益を取ろうと思って発売したのではなく、シーズニングの質をさらに上げた商品です。

 例えば「モッツァレラチーズ&カマンベールチーズ味」を食べていただければ分かると思いますが、非常に繊細な味付けになっています。普通、お菓子のチーズ味というと、香りが強く特徴を出しやすいチェダーチーズを原料に使うのですが、敢えてモッツァレラやカマンベールの風味にこだわりました。その結果、大人がシャンパンのツマミに食べてくれるほどの商品ができました。

──うまい棒はいまや子どもの駄菓子というだけでなく、大人が懐かしい味を思い出して購入したり、料理の隠し味として使ったりするシーンも増えています。

角谷:ありがたいことに、駄菓子はコンビニや大手スーパーにも置いてもらっていますし、最近では「食べきりサイズ」のお菓子人気でオフィス内での需要もあると聞いています。

 私は“駄菓子は日本の文化”だと思っていますので、この文化を絶やさぬよう、各協力工場さん、販売店さん、そして消費者の方々とも一緒に小物菓子の市場を守っていけたらと思っています。

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