外務省関係者がその背景を説明する。
「今回の首脳会談は、習近平氏から電話を掛けて持ちかけたとされる。貿易戦争で中国は守勢に回っているため、トランプ氏と会談したいが、問題は開催する場所。習氏は“今度はホームアドバンテージが欲しい”と思っているだろうが、トランプ氏にすれば、“会ってほしいならそっちが手土産(貿易交渉の妥協案)を持って我が家に来い”という姿勢でしょう」
かといって、中国も簡単には引き下がれない。「国内向けのメンツ」を守らなければいけないからだ。
2015年に韓国・ソウルで行なわれた安倍首相と李克強・中国首相による初の首脳会談では、それぞれが自分の宿泊先を会談会場にするよう要求し、互いに譲らなかった。最終的に日本側が折れ、李首相の宿泊先を安倍首相が訪ねて会談が行なわれたが、その後に開かれた別の場所での晩餐会に向かう際、李首相はあえてホテルの裏口から出たと言う。
これは、李首相が〈自らがホストであることを示した〉(産経新聞2015年11月2日付)と解説された。
では米中どちらもギリギリまで譲らなかった場合、どうなるのか。
「日本が大阪の別の会場をセッティングするなど、“中立地”を提供しなければならなくなるかもしれない」(同前)
世界経済の行方を左右する“外交決戦”の舞台となる大阪。議長役の安倍首相もハラハラだろう。
※週刊ポスト2019年7月5日号