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7pay騒動 恥ずかしい語り方、ちょっとは小粋な語り方

セブンペイ不正アクセスに関する記者会見で頭を下げる運営会社の小林強社長(中央)ら(時事通信フォト)

 ニュースに対するふとした発言が周囲に思わぬ印象を与えることも実は少なくない。大人力について日々研究を重ねるコラムニスト・石原壮一郎氏が指摘する。

 * * *
 このところあっちでもこっちでも「なんちゃらpay」が大流行りです。よく知りませんけど、スマホで何かをどうにかしてお店の人に見せると、支払いができるんですよね。どの会社もお得そうなエサをぶら下げて、「さあ、とっとと使え!」「使わないヤツは時代遅れだ!」と煽っています。

 そりゃまあ「お得」には弱いし、時代に乗り遅れていないぜという顔もしたかったし、使ってみるべく何度かトライしました。しかし、そのたびに途中で挫折……。ま、使えなくても不自由はないしねと自分をなだめつつ、「pay」方面の話題には触れないようにしてきました。そういうおっさんは、きっと少なくないでしょう。

 そんなおっさんたちに朗報です。新しいことが苦手という特性が、珍しくいいほうに転びました。多くのおっさんが、心の中で「ほら見たことか!」と叫んだに違いありません。いや、当事者にとっては深刻な話ですけど、おっさんにとっては久々の明るい話題です。

 ご存知のとおり、7月1日にサービスを開始したセブン&アイ・ホールディングスのコード決済サービス「7pay(セブンペイ)」が、たちまち不正アクセスを受けまくってしまいました。被害額はわかっているだけで約5500万円。4日には運営会社の社長が緊急会見を開いたり、あわててチャージや新規登録を停止したりなど、大騒ぎになっています。

 もちろん、セブン&アイ・ホールディングスは、どうやら落ち度はあったにせよ被害を受けた側に他なりません。そこはお気の毒ではあるのですが、イメージダウンは避けられないでしょう。いろんな会社が一丸となって作り上げてきた「なんちゃらpayを使えば幸せになれる!」というバラ色なイメージにも、見事に冷や水をぶっかけました。

 そんなことを踏まえつつ、はからずも「pay」方面とは距離を置いてきたおっさんとして、今回の「7pay騒動」をどう語ればいいかを考えてみましょう。語り方を間違えると無駄におっさん臭さが強調されてしまいますが、株を上げるチャンスでもあります。

●「7pay騒動」のおっさん丸出しな恥ずかしい語り方

その1「そもそもあんなの必要ないんだよ。やっぱり現金がいちばんだね」
その2「中国人が捕まったらしいけど、ホント中国って国はロクでもないな」
その3「ほら見たことか。だから俺は、ああいうのは使っていなかったんだよ」

 その1は、そう言いながらきっとクレジットカードやSuica系は便利に使っているわけですから、現実を見ようとしないマヌケで偏狭な懐古趣味でしかありません。その2は、たまたま捕まったのが中国人だっただけで、日本人がやっていた(やっている)可能性も大いにあります。何かあると、平気で「だから○○人は」と差別発言をしてしまえるのは、頭の悪さと性格の卑劣さの何より明確なアピールと言えるでしょう。その3の「ほら見たことか」は、心の中で思うのはいいとして、口に出すのは危険。新しいことについていけなかった負け惜しみにしか聞こえません。

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