サムスンのスマホも日本製品無しでは作れない(Imagine China/時事通信フォト)
対策を探る中で、経産省が目をつけたのが韓国経済の「最大の弱点」だった。元在韓国特命全権大使で外交経済評論家の武藤正敏氏が指摘する。
「韓国は国内総生産(GDP)の約40%を輸出が占める輸出立国で、輸出のうち20%を半導体が占めます。韓国は『IT先進国』と言われますが、実際に成長して利益を上げているのは半導体くらいで、その他の分野の成長はほぼ横ばいと言われます。
世界の半導体市場でサムスン電子とSKハイニックスのシェアは50%を超え、ディスプレイのシェアはLGディスプレイとサムスン電子が30%を占める。それゆえ半導体が停滞すれば、テレビもスマホも作れなくなり、韓国経済は致命的な打撃を受けかねません」
韓国経済の命運を握る半導体の製造に欠かせないのが、先に日本が輸出管理を強化した3品目だ。
「韓国はレジスト、フッ化ポリイミドの9割強、フッ化水素の4割強を日本から調達しています。繊細な半導体に使える高純度の製品の製造は日本のメーカーのお家芸で、これらの製品は海外市場でも日本企業のシェアが大きい。日本以外からの調達は難しく、輸出管理の強化によって韓国企業に大きなプレッシャーをかけられます」(半導体業界関係者)
韓国半導体の屋台骨を支える3品目の供給をストップすれば韓国経済はパニックに陥り、日本に歩み寄らざるを得ない──これこそ、オール霞が関が編み出した極秘シナリオだった。
文在寅政権は今回の措置について、「徴用工問題の取り扱いへの報復措置だ」と反発し、「WTO(世界貿易機関)に提訴する」と息巻いている。