「葬儀の香典は、一般的には5000~1万円程度でしょうが、芸能人の場合は違います。基本の金額が10万円です。小さな事務所でそんなに付き合いもない、という場合は5万円くらいの時もありますが、基本は10万円。不祝儀はあまり大きな金額を包まないという一般的な常識と違い、金額がタレントや芸能事務所の面子になるわけです」(同前)
そうした複合的な序列に気を遣う芸能界と違い、伝統芸能である歌舞伎の場合はある意味分かりやすい。
「歌舞伎の世界では家柄や人間国宝かどうかなどで決められた“格式”を何よりも重んじるし、それは明確に序列化されています。基本的には興行元である松竹がすべてを取り仕切る。6年前に大名跡である12代目市川團十郎さん(享年66)が亡くなった際には、仮通夜に弔問客が訪れるたびに、役者の名前や顔がわからない記者やカメラマン向けに、松竹が『今のは○○さんです』などとアナウンスしていた。
『報じる時は格上から書くように』という指示もあり、各紙とも、尾上菊五郎、中村吉右衛門以下の順番で書いていました」(芸能記者)
斎場入り口に掲げられる名札も「歌舞伎役者」「演劇関係者」「その他」に分けられ、「上段右上」から順に、格上から並べられる。
※週刊ポスト2019年8月2日号