自分が描いた妖怪がスクリーンの中で動く

◆世界に類をみない博物館

 柏本系絵巻をはじめ、約5000点もの妖怪コレクションを三次市に寄贈したのが、妖怪研究家の湯本豪一さん。私財を投じ長年かけて収集した妖怪関連の資料と三次を舞台とした妖怪物語『稲生物怪録』を核に誕生したのが、この世界に類をみない妖怪博物館だ。

 湯本コレクションは絵巻、浮世絵から彫刻、根付など多岐にわたり、江戸時代から現代までを網羅。木下さんが感嘆の声を上げる。

「幅広い分野のものが一堂に会し、圧巻です。これほどのものを見ることは、三次に来ないと体験できません。それにしても、今までどこに湯本さんはこれだけのものを所蔵していたんだろう!? と驚きます(笑い)」

 湯本さんは妖怪コレクションと寄贈の経緯についてこう語る。

「30代の頃、江戸時代の双六に描かれた可愛い妖怪に惹かれて集め出したのがきっかけです。収集したものは数か所の美術用倉庫に預けたり、展覧会に貸し出したりしていました。

 妖怪については民俗学的、美術的な研究はあっても博物館的な活動がなく、妖怪文化を保存して後世に残したいと考えていたところ、3年前に三次市から博物館設立の話があり、理念が一致し、所蔵品の寄贈を決めました」

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