昨年のM-1は決勝進出9組中8組が吉本芸人だった。写真は2018年4月の制作発表で、とろサーモン、スーパーマラドーナ、ジャルジャル、かまいたち、三四郎、和牛、マヂカルラブリー、さらば青春の光、ミキ、ゆにばーす、さや香が出席。非吉本は三四郎とさらば青春の光だけ。

 また、テレビに出た時に、周りには吉本の芸人がたくさんいるため、何か発すると先輩芸人が“おいしく”してくれるというメリットもある。吉本のベテラン芸人が他事務所の芸人を助けないかというとそうではないが、絡みがある吉本の後輩芸人の方がどうすれば“おいしく”なるのかインプットされているので、自然と吉本びいきのようになってしまうというのが実情である。前出の若手芸人はこう続ける。

「さらに吉本は自社の劇場を持っていることも大きいです。大阪、新宿、渋谷だけでなく、埼玉や沖縄などにも劇場があります。ここでは毎日公演が行われており、多い時だと1日に5公演も行われています。だから、若手にとって出る機会が他の事務所に比べて格段に多いです。ただし、芸人の数も多いので劇場に出る出演権をかけてライバルに勝たないといけません。このライバル同士の戦いがあるから吉本の芸人は強いのです。いわゆる“打席に立つ”回数が多いため、吉本芸人の鍛えられ方はハンパないです」

 テレビで毎日のように見る芸人も舞台に立っている。テレビより舞台の方が生で客の反応がわかるため、どういうことが世間に今ウケるのか、日々、実感することができるのだ。

 前出の若手芸人は、吉本のある若手芸人と一緒に仕事をした後の衝撃を今でも忘れられないという。

「仕事が終わったのが22時頃でした。仕事終わりにご飯にでも行かないか? と誘ったところ『今から事務所で稽古なんです。すみません』と断られてしまったのです。終電で事務所にやってきて朝まで稽古する芸人は少なくないそうです。それくらいガツガツやらないと吉本では上に行けないのでしょう。賞レースの決勝メンバーを見るとわかりますが、吉本芸人が多いです。吉本制作の番組だからひいきしているのではと世間では言われていますが、夜中に毎日のように稽古をしているのだから、それも当然の結果だと思います」

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