今関さんはまず、PTAの不要な活動を問う保護者アンケートを実施。行事の“断捨離”を図った。
「PTAでヨガ教室やコーヒーのいれ方の研修会をしていたのをやめました。専業主婦が多かった時代はカルチャースクール代わりに楽しまれていたのでしょうが、仕事がある人がわざわざ休んで参加するのは大変です。
夏休みの昼間にやっていたパトロールもやめた。昔はたばこを吸ってたむろするような子供がいたようですが、今はいません。形だけのものになっていたので、代わりに朝の挨拶運動や下校の立ち当番を都合のいい時に20分だけ参加してもらい、達成感を持てるようにしたら、働いているお母さんにも気軽に参加してもらえるようになりました。子供たちにも、いつも大人が通学路に立ってくれているわけではないこと、自分で周りを気にすることを伝えました」(今関さん)
やり方次第でPTAはもっと充実すると確信した今関さんは、息子たちの進学を機に、神戸市立本多聞中学校(兵庫)でもPTA役員となる。そこで新たに挑戦したのが、保護者と学校をダイレクトに結ぶ仕組み作りだ。
「それまで学校との話し合いには、役職のあるPTA役員しか出席できませんでした。当時の教頭先生の協力を得て、月に一度開かれるPTA運営委員会の会議を開放して、保護者は誰でも校長や管理職の先生らと意見交換できるようにしたんです。回を重ねるごとに参加者が増え、議論が交わされるようになりました」(今関さん)
会議の議論はそのまま学校生活にフィードバックされた。
たとえば「ボストン型バッグが使いにくい」との声があればリュックタイプのバッグが導入され、「部活をやりたいけど運動が苦手な子供がいる」との声があれば美術部が創部された。
「実際に子供たちが困っていることをダイレクトに学校に伝えられて、保護者も先生たちも新鮮だったはずです。さらに、毎月の運営委員会で学校を訪れることで、先生たちがいかに忙しいのかを実感でき、より一層の協力体制を築くことができました」(今関さん)
今関さんの努力によって、PTAは親と先生をつなぐ本来の姿を取り戻したのだ。
※女性セブン2019年8月15日号