国内

京都・福知山ポッポランド 2億円寄付で再建計画撤回の経緯

福知山駅南口に展示されているSLと転車台

福知山駅南口に展示されているSLと転車台

 郷土にゆかりの貴重な資料などを、どうやって後世に伝えていくか。全国の自治体が頭を悩ませているこの問題に、縄文時代から人が住み、古くから交通の要所として栄えた京都府福知山市も直面していた。建物の老朽化や資金の問題で昨年4月から休館していた福知山鉄道館ポッポランドが、1個人からの寄付によって再開できることになった。福知山と鉄道のゆかりの深さ、歴史的資料を保存・展示し続ける難しさについて、ライターの小川裕夫氏がレポートする。

 * * *
 今年7月、JR西日本がIC乗車券「ICOCA」の利用範囲を拡大することを発表した。「ICOCA」が新たに利用できるようになるのは、福知山支社が管轄する北近畿エリアで、同エリアには城崎温泉や軍港として栄えた東舞鶴駅・西舞鶴駅などがある。

 IC乗車券の利用範囲が拡大することで、鉄道の利便性は向上する。観光需要の増加も見込まれる。有名な観光地を抱える北近畿エリアにとって、ICOCAの範囲拡大は大きなチャンスでもある。

 JR西日本や京都丹後鉄道は“北近畿ビッグXネットワーク”と呼ばれる特急ネットワークを構築し、京都・大阪と北近畿間のアクセス改善。産業振興、地域活性化に力を注いできた。

 そうした北近畿にあって、京都府福知山市は明治から令和の現在に至るまで北近畿エリアの中心都市として地域経済を牽引してきた。

「福知山市の玄関口でもある福知山駅は、現在でもJRの山陰本線・福知山線、京都丹後鉄道が発着する鉄道の要衝地です。明治期から鉄道が敷設された福知山駅は、鉄道の街としても栄えてきました。駅には車両基地があり、往時の福知山市街は鉄道で大変にぎわいました」と説明するのは、福知山市産業観光課の担当者だ。

 山陰本線・福知山線、京都丹後鉄道のほかにも、1974年まで北丹鉄道というローカル私鉄が福知山駅から発着していた。

 鉄道が支えた福知山の歴史を後世に伝えるため、市内各所には鉄道遺産が点在している。福知山駅一帯に残る鉄道遺産は、地元有志や鉄道ファンたちが守り続けている。1998年にはJRのOBや商店街有志によって、鉄道保存展示施設「福知山鉄道館ポッポランド」が開館。以降、福知山の観光名所として親しまれてきた。

 ポッポランドが入居していた建物は、1933年に竣工された。そのため、老朽化は激しく、耐震強度も不足していた。それらを理由に、昨年3月末に閉館。現在は、蒸気機関車C5856が展示されているポッポランド2号館だけが公開されている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン