ビジネス

「子連れ出勤」に賛否 なぜ企業内保育所は増えないのか

ハードルが高い「子連れ出勤」

ハードルが高い「子連れ出勤」

 子どもが保育園に入れず、満足に仕事をできない父母のために、子どもを連れて職場で働く「子連れ出勤」を認める企業が増えている。だが、従業員の規模や職種の違いこそあれ、オフィス内に子どもを連れてくること自体に抵抗感を示す人が多いのも確かだ。そもそも、国の補助金制度もある企業内保育所の設置はなぜ進んでいかないのか──。働く主婦の調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長兼「ヒトラボ」編集長の川上敬太郎氏がレポートする。

 * * *
 子連れ出勤と聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべるだろうか?「仕事場で見る親子の姿が微笑ましい」「小さなお子さんを連れての出勤は大変そう」「子どもが仕事の邪魔になりそうで迷惑」……など、イメージは様々ではないかと思う。

 しゅふJOB総研が仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦層”に、単一回答で「子連れ出勤をする側、同僚として一緒に働く側、それぞれのあなたのスタンスとして最も近いものをお教えください」と尋ねたところ、意見は二分された。

「子連れ出勤」賛成・反対派が真っ二つ(有効回答数=1000)

「子連れ出勤」賛成・反対派が真っ二つ(有効回答数=1000)

 働く主婦層は、自らが“子連れ出勤する側”にも、子連れ出勤の同僚と“一緒に働く側”にもなりうる。

 結果は、“子連れ出勤することに賛成”の人の比率は、「子連れ出勤するのも、同僚として一緒に働くのも賛成」と「子連れ出勤するのは賛成、同僚として一緒に働くのは反対」を足した43.8%。反対は、他の2項目を選んだ56.2%となった。

 一方、子連れ出勤の同僚と“一緒に働くことに賛成”の人の比率は、「子連れ出勤するのも、同僚として一緒に働くのも賛成」と「子連れ出勤するのは反対、同僚として一緒に働くのは賛成」を足した55.1%。反対は他の2項目を選んだ44.9%という結果が出た。

 フリーコメントにも、全く異なる様々な観点からの意見が寄せられた。

“子連れ出勤することに賛成”の人は、「成長を見守りつつ幼稚園に入園するまで一緒にいたい」「保育園に預ける手間が省ける」「子連れ出勤しなければならない状況なら仕方ない」と、子育て時期ならでは事情を主張する。

 かたや“子連れ出勤することに反対”の人は、「他の人に気を使って仕事に集中できない」「とにかく通勤が大変」「外遊びが出来ない環境に置くのは抵抗がある」と、働く立場、母の立場の両面から懸念を示す。

 子連れ出勤の同僚と“一緒に働くことに賛成”の人は、「保育所に入所できなくて仕事に復帰できないのは残念なこと」「これからは働き方の多様性を受け入れないと企業は人を集められない」「子供は社会全体で育てていくもの」などと理解を示した。

 子連れ出勤の同僚と“一緒に働くことに反対”の人は、「同僚の子がウロウロしてたら集中出来ない」「不妊治療中の方もいらっしゃるかも」「そもそも子供が嫌い」と、自分や自分以外の同僚の気持ちなども踏まえて反対する。

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン