おそらく世界中の多くの人々は、そもそも石炭に放射性物質が含まれているということを知らないので、こうした稚拙なやり方であっても、「来年、五輪を開催する日本が“放射能汚染”されている」とアピールすることは十分に可能と考えられる。
しかし、放射能汚染への懸念を理由に福島県産ほか8県の水産物禁輸を続ける韓国が、石炭灰の輸出規制によってそうしたアピールを新たに行なうことは、「日本=放射能汚染された国」というレッテル貼りを助長する行為である。それは決して看過されるべきではなく、日本側は石炭灰に関する正しい知識を広め、冷静に韓国側の主張のおかしさを指摘していくべきである。
●取材・文/清水典之(フリーライター)