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2019.08.24 16:00  NEWSポストセブン

『サラメシ』真夏の“社長メシ”スペシャルに落胆した理由

番組公式HPより

 人気番組には、ならではのポイントがある。そのバランスが少しでも崩れると魅力は褪せてしまいかねない。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が、かねてからファンだったという番組について指摘する。

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 スタート当初は23時半~という時間帯で、ひっそりと放送されていた番組。しかしジワジワと人気が出るにつれ放送時間も徐々に早くなり、今やゴールデンタイムへ。「NHKの看板番組」の1つと言われているのが『サラメシ』(NHK総合火曜午後7時30分)です。

 ご存じの方も多いと思いますが、「サラメシ」とは「サラリーマンの昼メシ」の略。「ランチをのぞけば人生が見えてくる」を合言葉に、働く大人の昼ご飯を取材。シンプルな「昼飯」というテーマから四方八方へと映像は飛び、さまざまな仕事の現場が出現します。農家、工場、美容院、アーティスト、船乗り、特許事務所、営業事務所。新入社員からベテランまで。実にさまざまな人生模様が「昼飯」一つから見えてくるから面白い。

 この番組が突出している点を3つ挙げると……まず、シンプルなテーマ性。美味しそうに食べている人を見ると、ただそれだけで幸せな気持ちに包まれる。それがこの番組の人気の根本的な理由でしょう。

 続けて「企画力」の冴え。「昼飯」を軸に、いかに展開にしていくのか腕の見せ所です。実際、『サラメシ』の中にはいくつかのコーナーがぎゅっと詰まっています。「○○に昼が来た!」コーナーは、各仕事場の昼飯風景が映し出されるメインのパート。

 例えば金曜日にカレーうどんを食べるという職場。実は作業服を週末に洗濯するから金曜ならカレーの汁が飛んでも大丈夫とか、固有の理由が見えてきて、そこから固有の仕事の中身もわかる。さらに、会社でどんな人が働いているのか、と周辺もわかってきて「なるほどこのお仕事ゆえにこのお昼なのね」という「腑に落ちる」感がいい。まるで魔法の小箱をあけるような楽しさです。

 一方、「お弁当を見にいく」コーナーは、カメラマンが撮影するのがお定まり。仕事場で仲間たちと記念撮影。ここでは「お弁当」が鍵になります。職場のみならずその人の「家庭の色あい」がお弁当にジワリと出てくるからです。あるいは「さし飯」コーナーは、撮影スタッフがアポなしで街頭で声をかけ、さしで昼をご一緒する突撃もの。どんな何の話が飛び出すかわからない。時々、取材相手の話ではなくスタッフの悩み相談にすり替わっていたりするのも、ご愛敬。予定調和ではないドキュメントならではの楽しさです。

 そして圧巻が「あの人が愛した昼メシ」コーナー。故人となった人が愛していた店、ひいきにしていた店へ行き座っていたその場所で、好んで食べたメニューを撮影しつつ店の人が思い出を語るというしっとりとした時間。という質の違うコーナーを自在に組み合わせて30分弱の番組に編集していく。そのため毎回違うテイスト感があり、テンポもいい。まさに「企画力の勝利」と言えるでしょう。

 3つ目に、中井貴一さんのナレーションを挙げなければ。あのナレなしに番組は成り立たないくらい一体化しています。ラジオのDJのようなポップなノリで、即興的に映像に言葉をつけていく中井さん。特に前半はテンション高めで躍動感と高揚感、時におふざけ感に溢れています。

 一転して「あの人も、昼を食べた。」のコーナーになると、静かな落ち着いた口調に変化する。故人を思い出す厳かな雰囲気へと転換するメリハリが見事です。

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