ところが……どうしたことでしょうか? 8月20日に放送された「真夏の”社長メシ”スペシャル」だけは、いつもと勝手が違いました。拡大特番72分間、日本経済を担う大企業、ANAホールディングス、三菱地所、アサヒグループホールディングス、セイコーホールディングス、メルセデス・ベンツ日本、双日といった錚々たる社長の「サラメシ」を紹介したのですが、あまりに平板で退屈しまって自分でもびっくり。
当たり前かもしれないけれど登場する社長さんのスタイルがまずは似通っている。メガネ、床屋にいきたての髪、仕立てのよい背広。いつもの変幻自在なメリハリ感がまったくといっていいほど感じられない。しかも、ランチの中身も社食の唐揚げとかお蕎麦とか。座右の銘はレイモンド・チャンドラーの言葉とか。大企業の社長ならこうなるよねーという、想定内のシーンばかり。
社員も当然ながら、一歩引いて遠慮している。中には社長に対して「神々しい」と語る社員もいたりして、なんだか予定調和のオンパレード。それゆえ、中井さんの声も今ひとつ弾まない。
即興もつっこみも入りにくい『サラメシ』なんて。どんなに偉い社長だろうと腫れ物に触るようではなく想定外の素顔とか、びっくりの食事風景を見せてくれないと『サラメシ』とは言えない。今回はまるで企業のPRビデオを見せられているみたい、と感じたのは、果たして私だけでしょうか?