ビジネス

「冷凍チャーハン」100億円市場、各社こだわり開発の舞台裏

 ニチレイフーズの工場の製造工程ではプロの手順を忠実に再現。卵を入れたすぐ後にご飯を入れ、すばやく攪拌して油で炒めることによって、ご飯1粒1粒に卵がコーティングされる。数十億円を投資し、これらをすべて機械化した。焦げを取るなどの作業は人手で行うという。

「料理人は1回に1人前しか作らないが、工場では1日数万食単位で生産する。量が多いと品質もぶれやすいが、品質を安定させるために独自のノウハウが生きている」(ニチレイフーズ・奥村氏)

◆「250度」がもたらしたもの

 本格炒め炒飯は今やニチレイフーズにとっても屋台骨の商品だ。2017年にはこの1商品だけで年間売上高が初めて100億円を超えた。発売以来毎年50億円前後で推移していたが、2015年春の大規模なリニューアルで流れが変わったという。

 リニューアルの大きな目玉となったのが、冷凍チャーハンの開発において重要な「炒め」の工程だ。約30億円をかけて製造ラインを改造し、一度卵と炒めたご飯に250度以上の「高温熱風」を浴びせる工程を加えた。250度という温度は、プロの料理人がチャーハンを調理している中華鍋の表面温度を、ニチレイフーズがサーモグラフィーで測った結果、得たものだ。

 さらにそれまで社外から調達していた焼豚を、独自レシピによる自社製に変更。この焼豚の煮汁を隠し味に採用したうえ、香りを引き立たせるために焦がしネギ油を新たに開発した。「ここまでやりますか、というところまで、自分たちで作るようになった」と奥村氏は振り返る。

 細かな工夫はこれだけではない。ご飯を炊く際にはコメを水に浸すのではなく、蒸気で蒸し上げ、水分の吸収を抑える。これも「パラパラ感」を出すためだ。さらに冷凍する際は、冷凍庫でご飯を凍らせたときのような塊にならないようにする技術もあるという。

 ご飯以外では、2018年春の改良で焼き豚1個あたりの大きさを1.2倍にし、量も増やした。同時に値上げも実施している。今年2019年春には、仕上げとして中華鍋の鍋肌に醤油をジュッと入れたような風味付けを始めた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン